今週の月曜ブックオフで購入した残り三冊についてです。
このところ安価で見つけることができたら購入しようと思っているのは絲山秋子
さんのものでありまして、読むこともせずにほっておいているので、たまにはだぶり
で買ったりすることにもなります。先日には「イッツ・オンリー・トーク」の文庫本を確
保してにんまりとしていましたら、数ヶ月前に買ったままでした。(今回、「絲的ココロ
エ」のおかげで読むことができました。)
月曜に購入した絲山本は、次のものでした。
表題作は芥川賞を受けたものとなります。設定は絲山さんが大学を卒業してか
ら働いていた住宅設備機器メーカーでの人間模様を描くのですが、もちろん私小説
ではありません。どこかに著者が投影されていると思うのですが、これは作中で語り
を行う「私」というよりも、その同期入社の男性のほうにあるのかもです。
そんなふうに読んでみると「袋小路の男」という作品も、この男性のほうにより作者
が投影されているのかな。
二冊目は、西村賢太さんの次のもの。
西村さんの良い読者ではありませんが、気になることもあって、安価な文庫で
見つかりましたら購入です。特に資料収集についての本は読んでおかなくては。
こちらの西村さんは私小説作家さんでありますので、作中の私は作者自身と考
えてよろしいのでしょう。
印刷屋さんへの内金支払いのためにお金をつくるために架蔵の本を売却す
るというのが冒頭にでてきます。この売却予定の本の候補というのが、すごいも
のでありまして、こうした本を架蔵しているというところに西村さんが並でないこ
とがうかがえます。
三冊目は、そだちの良さで西村さんとは対照的な林望さんのもの。
当方の好きな平凡社ライブラリーの一冊。文庫本の均一棚にささっていま
した。手にしてみましたら、これの解説を丸谷才一さんが書いていて、それだけで
購入を決めました。
丸谷さんは解説で、「ジャパン・アヴェニュー」という言葉を説明しています。
これは1990年代はじめに日本ででた雑誌ですが、こういう雑誌があったことは、
丸谷さんの「猫のつもりが虎」(文春文庫)で知ることになったのですが、
林望さんが「ジャパン・アヴェニュー」で連載するようになったのは、丸谷さんの
はからいであったようです。