解説に四方田とあって

 そろそろ8月も終わりに近づいています。小学校の夏休みは、以前は8月いっぱい

で、9月に入って始業式というふうに思っておりました。(とはいっても北海道は

冬休みが長いので、夏休みはお盆すぎで終わっていたのですが)

どうも最近は様子がかわったようでありまして、すでに始業式ははじまって、授業

が明日からとの話が伝わってきました。そこここで、違うのかもしれませんが、いま

でも9月始業式というところのほうが多いのでしょうか。

 8月の読書ではなく、8月の購書もそろそろ終わりに近づくのでありますが、新刊

を見ても、いかにも8月の本という感じのものがあることです。先日に行きつけの

本屋へといって買ったのも、そのような感じの一冊です。

 本を手にしましたら、解説 四方田犬彦とあったのも購入を決めたポイントの一つ

となります。

 梶山季之さんは、当方が若い頃にはベストセラー作家でありまして、大衆向けの

物書きという評判でありましたから、当方は手にすることがありませんでした。

ずっと後年になって古本小説(セドリ男爵)がたしか河出文庫(確認したら昭和58

年のこと)に入って、初めて梶山さんの小説を読んだくらいです。

 1925(昭和5)年に京城で生まれ、敗戦後の1945(昭和20)年に広島に引き揚げ

という経歴ですから、屈折していても不思議ではないことであります。

元々は純文学指向であったのでしょうが、売れないのでやむなく週刊誌などに文章

を書いていたのですが、それと並行して書かれていた作品をまとめたのが書籍化さ

れています。

 このような作品は、しばらく入手が難しかったようですが、2000年代に入ってか

インパクト出版会(いかにも)、岩波現代文庫とはいって、今回が光文社文庫

す。

 この文庫の帯には、次のようにありです。

 「侵略とは何か。その果てない悲劇と罪を問う。」

 そういえば、図書館から借りている「戦争記念碑は物語る」の韓国編には、次の

ようにありましたです。

「1910年、朝鮮は正式に大日本帝国に併合され、その後35年にわたる植民地支配が

始まったのである。

 この搾取が頂点に達したのは日本の統治が朝鮮半島の人々の生活のあらゆる面に

影響を及ぼした第二次世界大戦中であった。1939年から45年の間に、約20万人の

朝鮮人男性が大日本帝国陸軍に徴用され、さらに少なくとも150万人が日本の工場で

働くために徴用された。女性たちもまた、日本人のためにあらゆる種類の仕事を強制

された。」

 これは英国の作家、歴史家の書いているところで、このようなことを日本人が言い

ましたら、自虐史観とつっこまれそうでありますが、世界的な認識はこちらのほうが

多数派でありましょう。

 それじゃ四方田さんは、この本の解説をどのように書いているのか、これから読ん

でみることにいたしましょう。