同じにおいか

 先日に小田嶋隆さんが亡くなって、あれこれと追悼の文章などを目にすること

になったのですが、当方はほとんど小田嶋さんの著作になじみがなくて、これは

どうしてなのかと思うことです。

 知人と話をしていたら、小田嶋さんというと内田樹さんでしょうよと返ってき

たのですが、そういうことも知りませんでした。

 昨日の新聞夕刊に平川克美さんが追悼文を寄稿していて、それを読んでいて、

すこし思いあたることがありました。

 平川さんが書いている小田嶋さんのことについて、すこし引用です。

「小田嶋さんは、あらゆる権威・権力に忖度することなく、嘘と腐敗、いかがわ

しさ、インチキを暴き出す反骨のコラムニストということになっている。だが、

私にとっては信頼できる友人のひとりであり、それで十分だった。」

 反骨のコラムニストというのは、魅力的なひびきでありますが、当方はそうい

われる人の本を、なぜか手にしなくなっていたのですね。たぶん、なんとなく

うっとうしく思って遠ざけていたのでしょう。

 平川さんの文中には「彼の盟友・岡康道さん」とあって、これに反応です。

もうだいぶん前のことになりますが、CMプランナーの岡さんが新聞に大きく取

りあげられて、その魅力的なプロフィールに新聞を切り抜いて、保存したことが

ありました。

 そうであったのか、小田嶋さんというのは、岡さんの盟友といわれる存在で

あったのかです。これを知っていたら、違ったアプローチもあったのにです。

 再び、平川さんの文章からです。

「私は小田嶋さんに強い親近感を感じた。その理由は、私と彼の出自にたくさん

の共通点があったことだった。・・職人の長男として生まれ育ち、都立高校を出

て、大学を卒業し、そのまま『プータロー生活』を経験した。お互い、同じにお

いを感じたのだろうと思う。」

 「同じにおい」なんだ、平川さんがいうところの小田嶋さんとの共通点に、当

方の重なるところは、ほとんどないのでありますが、平川さんがそうまでいうの

でありましたら、ちょっとのぞいてみなくてはと思うことです。