2日ほど前からプルーストの岩波文庫は8巻目「ソドムとゴモラ」に入ったの
ですが、これが思いのほかでページが進みます。
とはいっても訳者の吉川さんがいうように3日もあれば一冊あがりますよと
いうようなペースではないのでありますが、これまでのどの巻よりも順調であり
まして、この調子で進めば、予定よりも早くに最後にたどりつきそうなのですが、
そのように運ぶでありましょうか。
もっとも、この巻の初めの話題が同性愛であるからでありましょうか。この
時代においても、いまだ後ろ指をさされそうな同性愛でありますが、プルースト
の時代においてはさらにであります。
プルーストの小説の一部を引用するのは、ひどく難しいのでありますが、この
ような調子でそれが話題になるのでありました。
「まるで医者が虫垂炎を探りだすように歴史のなかにまで倒錯を探し求め、イス
ラエルの民がイエスもユダヤ人だったと言うのと同じで、得々としてソクラテス
も倒錯者のひとりだったと指摘するが、しかし同性愛が正常な状態であったとき
には異常な者は存在しなかったこと、キリスト以前には反キリスト教徒など存在
しなかったこと、恥辱のみが犯罪をつくることには想い至らない。」
もちろんというか、プルースト自身も同性愛の人でありましたので、肯定的な
書きっぷりとなるのですが、その実際は隠れキリシタンのような生活ぶりであっ
たようであります。