早くも「海鳴り」

 本日の午後に外出より戻りましたら、編集工房ノアさんから「海鳴り」33号

が届いていました。早いことだと思って昨年を確認しましたら、3月18日に

届いているということがわかりました。編集工房ノアさんありがとうございます。

 昨年まででありましたら、「海鳴り」の刊行は京都三月書房のページで知るこ

とになりました。三月書房のページにアップされたのをみましたら、あと数日後

には当方の手元に届くのだなと思いました。

 編集工房ノアさんにとって三月書房さんというのは特別な書店でありましたで

しょうから、そこがなくなったというのはさびしいことですね。ほんと微力では

ありますが、ノアさんの本を宣伝するようにしなくてはいけないことです。

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編集工房ノア「海鳴り」33号

 「海鳴り」は一年に一度の楽しみでありまして、山田稔さん、安水稔和さん、

涸沢純平さんほかの文章を読むことができます。

たぶんほとんどの寄稿者は関西に住んでいる方でありましょうが、いまは関西を

離れた方もいらしてです。

 この33号から何を話題にしましょうかと思っていたのですが、山田稔さんは

ちょっとおいて、大阪に残した老親のことを話題にしたあいちあきらさんの

「サドルの大金」をです。

 大阪を離れて埼玉で暮らす息子さんが、ひとり暮らしとなった父親の介護の

ために何度も新幹線で往復するという話になります。

故郷に老親一人をおいていると、何かにつけて連絡がはいって、駆けつけなくて

はいけないことになるのですが、それができるだけ(金銭的、肉体的に)、この

親子は幸せであるなと思いつつ、読んでいて身につまされることです。

 これを読んでいて反応したのは、この作品にでてきた、次のくだりのところ。

「父が死ぬ二ヵ月前の二月、大阪上本町のホテルで、ぼくの新刊本の出版記念会

が開かれた。コロナ禍が広がりつつある最中、二十五名の参加者があった。

古くからの文学仲間がほとんどだったが、その中になぜか片岡珠代が来場してい

ることに驚かされた。」

 「サドルの大金」は小説ではありますが、このところにある「ぼくの新刊本」

というのは、あいちあきらさんの「ペリーの巣」のことでありましょうか。

あの本がでたのは何年前でありましたか。

ちょっと気になったのは、この「上本町のホテル」というところですね。

上本町というと近鉄の駅名にもなりまして、ホテルというと近鉄駅と同じ場所に

あるのが有名ですが、「古くからの文学仲間」が集うにはちょっとふさわしく

ないかなと思うことです。当方が幹事でありましたら会員諸氏の懐具合も

勘案して、駅から歩いて5分もかからないところにある公立共済の施設のほう

でセットするような気がします。

 そういえば、あの施設の横を通ったときに、そのような人たちを見かけること

があったなと思うのですが、これは勝手な想像です。

 「海鳴り」を手にしていましたら、最近ちょっと行くことができていない大阪

へと思いがとんでいくことであります。

 「サドルの大金」のあいちあきらさんは、奥さんともども小沢信男さんの文学

仲間でもありまして、小沢さんが亡くなって寂しい思いをしておられるだろうな

と思うことです。