なにやらきなくさいことになっていまして、いよいよ戦間期を終えて、戦前に
入っているのかと思うことですが、こういうときですから「我が事にあらず」と
いうことで、頭を冷やさなくてはです。
そんなわけで、「平成史」に引き続いて与那覇潤さんの「中国化する日本」と
いう本を手にすることになりです。これまで気になっていた与那覇さんの著作は
「平成史」を読んで勉強になって、もうすこしこれを読まなくてはと思いながら、
以前の本もということで、「中国化する日本」を図書館から借りることになりま
した。
タイトルを見ましたら、これはどんな本なのかと思いますが、この場合の中国化
というのは、与那覇さんのはじめにのところであらかじめ書かれているのですが、
「宋朝の中国で導入された社会の仕組み」のことでありまして、それは日本以外の
多くの国で取り入れられたのだが、日本ではずっとそれが取り入れられず、明治に
なって、やっと「宋朝」の社会の仕組みが、西欧経由で入ってきたということに
なります。唐の時代にはあれだけ、中国に学んだ日本が、その後において、どうし
て学ばなかったのかということを描いているとのいえます。
この本では、今年のNHK大河ドラマの時代についても、最近の研究による説が
紹介されていて、これはこのような時代に暗い当方には目鱗でありました。
「日本の中世は、『武士の時代』ではなく『中国銭の時代』、日本人が中国の貨
幣を使っていた時代、なのです。・・・対中貿易を通じて宋銭をどんどん日本国内
に流入させ、農業と物々交換に立脚した古代経済を一新し、かつ荘園制に立脚した
既存の貴族から実験を奪い取っていく。この科挙以外の貨幣経済の部分で、宋朝の
しくみを日本に導入しようとした革新勢力が、後白河法皇と平清盛の強力タッグ、
西日本中心の平氏政権であったということになります。」
なるほどなです、これへの対抗勢力としたのが「守旧派貴族と田舎侍の二大保守
勢力」とありますので、鎌倉殿のドラマをこういう視点からチェックして見るとい
うのもありですね。