誰も借りる人がいそうもないので、図書館から小田光雄さんの「近代出版史
探索 外伝」を借りることになりです。
小田さんのブログ「出版・メモランダム」の過去分でまとまっていなかったも
のを外伝として一冊にしたものです。それにしても小田さんのこのブログはすご
いボリュームでありまして、一冊600ページほどのもので一体何冊になってい
るのでありましょう。
図書館でみかけますと、とりあえずは借りるのですが、あまり良く読むことが
できていません。既刊分のすべてが行きつけの図書館にあるわけではなくて、
過去にドウマゴ賞を受けたものは、入らなかったように思います。
今回の外伝は、前半は「ゾラからハードボイルドへ」というくくりでゾラの
影響を受けている作品を取り上げ、真ん中に「謎の作者佐藤吉郎と『黒流』」
というほとんど知られていない作家と作品について論述し、最後に「ブルー
コミックス論」というシリーズがおかれています。
「ブルーコミックス論」は、書き出しに「グレアム・グリーンの短編『ブルー
フィルム』」への言及があり、その作品の簡単な紹介から始まって、その作品の
初訳でのタイトルは「青い映画」というものであって、これに触発されて吉行
淳之介は「青い映画の話」という作品を書いているのだが、そもそも日本で青い
という言葉にはエロティックなイメージはないのでないかということで、青い
というタイトルのコミックスを集めるにいたったと紹介するのであります。
残念ながら、こちらのコミックスは「ブルーフィルム」にダイレクトにつなが
る作品はないようでして、当方としては、もうすこし「青い映画の話」を続けて
ほしいと思いましたです。
それにしても吉行淳之介が、最近のインターネット動画の「青い映画」を見る
ことができたら、どのような感想を残したでありましょう。
小田さんが吉行の「青い映画の話」を紹介しているのですが、「当時『アノ
映画』は希少価値で、観覧料も高く、『私』が捻出できる金額ではなかった」と
あります。
最近のインターネット動画でもたくさんの男たちが集まって、息をひそめて
画面をみつめる上映会なんてのをやってる人はいるのでしょうか。