小田光雄さんの「図書館逍遥」を見ていましたら、ぱり国立図書館には
「地獄棚」というものがあることを知りました。
この「地獄棚」というものの存在を教えてくれているは澁澤龍彦さん
で、それは「『地獄』棚の魅力」というエッセイにあるのだそうです。
中田さんが引用している澁澤さんのエッセイの紹介をさらに引用です。
「パリ国立図書館では公開禁止のエロティックな文学の並んでいる棚を
『地獄』棚と称していると紹介していた。澁澤によれば、欧米の図書館には
『地獄』棚に類する書物がかなり所蔵されていて、それぞれ『アルカナ』、
『デルタ』、『地獄の穴』『宝物庫』と呼ばれているという。日本の公共図書
館には、これら欧米の図書館の『地獄』棚に相当するものがあるだろうか。
いやあるわけがない。ひたすら忌むべきものとして直視してこなかったの
が、日本の公共図書館の歴史であり、そのことによって書物の世界の豊穣
性の構築を怠ってきたといえるのではないだろうか。」
当方は町の図書館くらいしか足を運んでいないのですが、中田さんが
このように書いてからの20年で状況はかわったでありましょうか。
上記に続いて、小田さんは、「必然的に日本の『地獄』棚文献の収集は
民間コレクターの手によってなされるしかなく」と書いているのですが、そう
したコレクターの代表的な一人として、城市郎さんをあげています。
この城さんのコレクションを紹介した別冊太陽の「発禁本」のことを、
「別冊太陽シリーズには、書物をめぐる優れたものが数あるが、この
『発禁本』はそれらのなかでも白眉といっていいし、質量ともに最も充実し
たものとなっている。」
もちろん、当方はこの「発禁本」を持っているのですが、これを機にひっぱり
だしてくることにしましょう。