久しぶりに図書館で借りている本の入れ替えを行いました。図書館ヘビー
ユーザーの友人と話をしていた時に、あの厚い本を借りたかい、借りなきゃ
だめだよ、誰もかりなきゃ、もうこういう本は入らないよと、図書館の事情
にくわしい友人は言うのでありました。
図書館の棚を見るたびに、そこのところは動いていないので、そうか当方
がこれを借りなくてはいけないのかと思ったのでありますね。
このシリーズは、小田光雄さんの古本夜話というブログをまとめたものとなり
ますが、現在も進行形でありまして、先月末で1121回となっています。まだ
まだこの先続くのでありましょうが、だいぶん時代が下がってきていて、以前の
ものよりも馴染みのある本が紹介されるようになっているように思います。
本日に読んでいたところのあったくだりです。
「『舞姫タイス』に関する一編を書いたのは林達夫で、彼はその『タイスの饗宴』
を、昭和8年に小山書店から上梓した『文藝復興』に収録している。
私が所持するのはその小山書店版ではなく、戦後の二十二年の角川書店版である。」
このくだりは、アナトール・フランスがその昔には影響力の大きな文学者で、
戦前には白水社から小説全集が刊行され、林達夫さんはアナトール・フランスの
ことを文学の教師と「文藝復興」のあとがきで記しているとつながるのでありま
すが、ありがたいことで、そのままブログを貼り付けることができます。
小田さんは戦前にでた小山書店版を持っていないとありましたので、物好き
自慢で、当方がもっている小山書店版の書影をあげておきましょう。ただし
当方のは第二刷でありまして、昭和8年ではなく昭和17年のものです。
まさに戦時下にこのような本が刊行となったことに驚くことです。
ということで、小山書店版で「あとがき」を確認してみましたら、なんと
角川版ではあることになっている「あとがき」はこちらの版にはありません
でした。それじゃと中公文庫版「文藝復興」をひっぱりだしてきたら、こち
らにも「あとがき」はなしでありまして、こういうことがあるから、いろい
ろな版をチェックしなくてはいけないのですね。
いまほど著作集で、角川版「文藝復興」あとがきをチェックすることができ
ました。同じ書名ではありますが、収録されている内容は角川と小山書店版は
違いますよと書いてありました。これはわかっていなかったこと。