すこし尾を引くことで

 さて、本日は何を話題にと思って、近くにおかれている本を手にすることにです。

そんな一冊、「本の雑誌」の最新号を見ていましたら、ここには直木賞を占う記事

がでていたりです。

 「本の雑誌」編集部では「同志少女よ、敵を撃て」がかなりの評判をよんでいた

ようで、服部文祥さんの連載にもそれをうかがわせるエピソードがありました。

 「読書リハビリを新刊でやるなら今は断然『同志少女よ、敵を撃て』ですよと

本の雑誌編集部に教えてもらい、書店に走った。狙撃もの、猟師ものに関しては

常に目を光らせているつもりだ。そのうえタイトルから、近年親近感があるロシア

ものの臭いがする。と思ったら、ど直球(ジャイロ回転する7.62ミリライフル弾)

がど真ん中に飛び込んできた。」

 ということで、ロシアものについては一見識ある自分を唸らせることができるか

とすこし上から目線で読み始めたら、すっかりはまったとなるのですが、はて、

さてこれが、今回の直木賞から外れたのは如何にでありますね。

 そう思って、同じ「本の雑誌」に掲載の「黒い昼食会」のほうを見てみました

ら、こうあるのですね。鼎談形式となっていますが、発言をつないでいます。

直木賞は『塞王の楯』か『黒牢城』かなって気がしますね。いきなり『同志

少女よ』は困りますよ。文庫がないから。文庫が4作くらい出てからでいいよ。

そういう趣旨の賞じゃないことは知っている。でも飯のタネなんですよ。」

 このような見方をする業界人はいるのでありましょうね。芥川賞と比べると

直木賞のほうがずっと職業作家として期待されているでしょうから、どかんと

一作目に場外ホームランを放って、そのあとが続かなかったという心配は当然

でありますね。

 本日は「読者大賞」のノミネートがありましたが、こちらのほうにも「同志

少女よ」はエントリーされていて、こちらのほうでは同情票があつまるのでは

ないでしょうか。