まだ読んでいますの「らんたん」です。それでも、すこし前に進んで終わりが
見えてきました。恵泉女学園を創立した河井道さんと、そのシスターフッドを
中心に描いた小説となります。
河井道さんは、北海道にゆかりの方でありますが、もっともっと知られて良い
人と思っていたところに、恵泉女学園で学んだ柚木麻子さんが小説に仕立てて、
これが読まれて、その人となりが、すこしでも知られればよろしですね。
戦争前に創立された女学校で私学といえば、あちこちにあるのですが、個人が
作ったものというのは、そんなに思いつかなくて、圧倒的に有名な津田梅子さん
とか跡見花蹊さんなんていう先人がいて、その名は学園名にも冠されていますの
で、人物は知らなくても、親しみを感じることです。
河井道さんは、津田梅子さんの後を追うような教育を受けて、その後は師事し、
女子英学塾で教鞭をとったあとに、自らの学園を起こすことになります。
恵泉と名付けられた学園の創立は昭和4年4月とのことで、それから戦争を
はさんでの時代を乗り越えるというのは、キリスト教主義の学校にとっては、相
当に大変であったと思うのですが、時代に忖度することもなく、生き残ったのは
立派なことでありました。
柚木さんがこの時代に、この小説を書こうと思ったのは、河井道さんの姿勢に
学ぶところが多くあるということなのでしょう。
恵泉女学園は季節に応じた行事が実施されるのでありますが、この時期といえ
ばクリスマスでありまして、学園で会を催すだけでなく、「宣教師や横浜訓盲院、
児童施設の子どもたちへのクリスマスプレゼントまで作らねばならない」と記さ
れています。これは戦中のことですが、今は送り先などは変わっていてもプレゼン
ト作りは続いているのでしょう。
当方が一番キリスト教を身近に感じるこの時期に、「らんたん」を読むという
のは、なかなかタイムリーなことであるなと思うことであります。当方は、信者
でもなんでもないのですが、最近は離れて暮らす家族へのクリスマスプレンゼント
にはシュトレンを作って送ることにして、本日がその作業日でありました。
何か所に送ることになるものですから、一般的なサイズの半分でありまして、そ
れがためにちょっとボリューム不足ですが、まあ贅沢な材料を使っていて、味は
そこそこであると思いたいことです。