図書館から借りている本をまったく読むことができずに返却日を迎えます。
これはいかんであわてて、本を手にすることになりです。読むことができて
いない時には、二週間というのはあっという間でありまして、これを2回ほど
重ねましたら、一ヶ月が終わってしまうことになりです。
読めなくてもページをめくってあげなくてはと、取り出してきたのは、辻山
良雄さんの本でありました。
荻窪で本屋さんをやっておられる辻山さんによるエッセイ集。版元が幻冬舎と
いうのがあらまという感じでありますが、これのもとになったのは「幻冬舎」の
ホームページに連載した「本屋の時間」というコラムであったとのことです。
辻山さんの本屋さんに幻冬舎の本は似合わないのではないかと思ったりですが、
そんな小さなことにこだわらないのが、幻冬舎のスケールの大きなところであり
ますか。幻冬舎から連載しませんかと辻山さんに話が来たときには、私でいいの
ですかというようなやりとりがあったのではないかと思ったりです。
もちろん辻山さんでありますからして、幻冬舎に忖度したり、地味な本が一番
偉いというようなことはなしです。
パラパラとページをめくっていて、目に止まったのは次のくだりでありました。
「店でおじいさん同士が話をしている光景は珍しいので(おばあさん同士という
のはたまに見かける)、Kさんが誰かを連れてきたときにはよいものを見たと、
少しその場の風通しがよくなったように感じていた。」
辻山さんがいうところの「おじいさん同士」というのが、どのくらいの年齢の
人をさしているのかわかりかねるのですが、当方が2019年6月にこのお店を
訪ねたときは、同年のじいさん(といっても70歳目前)と一緒でありました。
この年代の男が二人つるんで本屋歩きをするというのが、最近は珍しいことに
なっているらしいことが、辻山さんの文章からわかりましたです。
ところで、あの時、辻山さんの店で何を買ったのであったろうか。まさか
手ぶらで店をあとにしたりはしなかったはずですが。