知らないにも程が

 岩波「図書」11月号を手にしていて、頭からパラパラとみています。

宮崎駿ジブリ美術館を訳す」というインタビューがありまして、ここに

登場するベス・ケーリという方は、「日本生まれ、日本育ちです。父は京都の

同志社大学で教えていて、母は医者をしていました。」と自己紹介しています

ので、オーティス・ケーリさんの娘さんとなるのですね。

 志茂田景樹さんのエッセイも読むことができました。志茂田さんのものなど

は岩波からかぎりなく遠いように思いましたが、それは昔にTVなどに登場した

時のイメージが刷り込まれているからでしょう。この「父と兄の書棚が招いた

変な読書」という文章は、もちろん至ってまともなものです。

 最近韓国の小説を翻訳して有名になった斉藤真理子さんは中学生の頃に読ん

だ作家 森村桂さんについて書いていました。そういえば、最近は森村桂の本

を見かけることがなくなっていることです。

 とここまでは書き手についてイメージがあったのですが、柳広司さんについ

ては、あれっ建築家であったかなという認識です。そういえば、昔も「図書」

に連載していたことがあるけど、ずいぶんと雰囲気が違うなと思ったのですが、

これはもちろん名前が似通っているだけで、全く関係なしでありました。

 柳さんの書くところを引用です。

「残念ながら(ではもちろんないが)我が家はテレビが映らない。アナログか

らデジタルに移行したじてんで映らなくなり、先方の都合で映らなくなったの

をわざわざ買い替えるのも業腹なのでそのままになっているだけだが、ともか

く映らない。・・ネットニュースも見ない。というと『それだと世の中につい

ていけなくないですか』と真顔で心配されたが、日刊新聞を三、四紙、週刊誌

に月刊誌、興味を持った分野は関連書籍も読んで、それでもわからない世の中

などというものがあるものだろうか。断片的で不確かな大量の情報は混沌しか

もたらさない。」

 柳広司さんという方は、このような考えの人なのですね。まるで知りません

でした。(ほんと知らないにもです。)

 当方はテレビはよく見ておりますし、ネットニュースも見ているのですが、

そのヘッドラインにつられて読むたびに、自己嫌悪に陥ったりすることであり

まして、こうしたひっかけにかからないよう、もう少しお利口にならなくては

と思うことです。

 何よりもネットニュースの情報提供元は、これまでほとんどお付き合いもし

たことのないところでありまして、一例を挙げますと東京スポーツなんて、

競馬とプロレス記事以外は、ウケ狙いのものであるように思えて、まともに

受け取る方がおかしいというような思い込みがありです。

 毎日のようにこのようなヘッドラインを目にして、ネットニュースがあれば、

新聞とかはいらないよねというと、まさに「新聞を読むような連中は、我々に

投票しない」といった人の思うツボですね。