このところは手持ちの本を何冊か読んでおりまして、それで手一杯である
にもかかわらず、図書館へと行きまして新刊本の棚の前に立ちますと思わず
手が伸びて借りることになってしまいます。
どうせ読めないだろうなと思っていても、景気づけのようなことでありま
すか。パラパラとページをめくって、この場で話題にできましたら、めっけ
ものです。
つい最近までまったく知ることのなかった作家さんが、皆川博子さんであ
りまして、図書館のおかげで著作を手にすることができました。
このようなベテラン作家がいることを知らなかったのは、本当に恥ずかしい
のでありますが、いまだ小説は読むにいたっていなくて、日下三蔵さんが編集
した書評、解説集を楽しんで読んでいるところです。
先月にその続編がでて、これが図書館に入っていたものですから、ありがた
く借りることになりました。
小説作品については、何冊もの集成があるのですが、これが長い作品が多く
て、とても読むことができそうにないので、読むのはもうちょっと待ってくだ
さいです。
皆川さんが推している作品や解説を書いているものを見て、皆川さんの小説
への傾向と対策であります。
この本は、親子ほども歳が違う編者日下三蔵さんの皆川博子さんへの尊敬あ
ふれる随筆選でありまして、日下さんのあとがきには、次のようにありました。
「本書には、皆川さんの書いた解説、書評、推薦文を可能な限り蒐めたつもり
だが、まったく洩れがないとは言い切れない点である。いや、恐らくかなりの
収録洩れがあるのではないだろうか。
とはいえ、本数にして70篇以上、330ページに及ぶ本書は、小説が好きで好き
でたまらない作者が、小説の神に宛てて出した恋文を凝縮したような一冊と
なっているはずである。一気に通読するのが困難なほどの密度だが、編者にとっ
ては折に触れて何度も繙きたい、まさに偏愛の宝物だ。」