悪夢の途中

 先日にダンボール箱を見ていたら、小林信彦さんの「セプテンバーソングのように」
がでてきました。

セプテンバー・ソングのように 1946‐1989

セプテンバー・ソングのように 1946‐1989

 小林信彦さんの本は多くが文庫本になっているのですが、これはいまだ文庫化され
ていないようであります。これに収録されたエッセイなどは、再編集でどこかで読む
ことができるようになっているのでしょうか。
 当方は、小林信彦さんの小説よりもコラムやエッセイを楽しんで読んでいるのです
が、コラムなどを再編集して手にとりやすくしてくれればいいと思っているのに、
なかなかそういう企画はあらわれません。小林信彦さんのこだわりが邪魔しているで
しょうかね。
「悪魔の途中」というのは、1988年7月刊行の「本の雑誌」に掲載のエッセイの表題と
なります。あくまでも1988年7月刊行当時の話でありますが、「悪夢の途中」ですか
ら、そのあとで悪夢から醒めたものがあればめでたしですし、いまだにまだ悪夢の
なかというものもあるでしょう。
 悪夢というのは、次のようなことに関してです。
1 脱原発への強い関心
2 たばこCMの野放し
3 税金と企業の関係
4 NHKを完全に民営化してしまえ
5 相続税をめぐる不公平さ
6 そして、小学校の教科書に軍神が出てくる
7 どうして、こんな国になったのか
 たとえば、原発については、次のように書かれています。
「とうとう、原発産業プラス政府側が本気で<反・反原発>キャンペーンを始めた。
ところが、これ、論理にもなんにもなっていないのね。要するに<玄人に任せなさい・
100パーセント安全です>というだけ。・・・
 日本の原発は、たとえば地震国であることを考えていない。考えていても、地震なん
て、起こってみなけりゃわからない。ようやくテレビでも原発問題を取り上げるように
なったが、近くの住人は『なにかあったら、死ぬしかない』とつぶやいていた。
<万が一>のケースってのを、まったく考慮していないのだ。」 
 書かれたのは、今から25年も前のことでありますが、この原発のところだけでなく、
NHKを完全に民営化してしまえ」なんてのも、今に通じる話であります。
 ほんとに「どうして、こんな国になったのか」と思います。