初日の前に

 先日に友人宅のバラを見せてもらいにいったときに、ちくま新書の「大相撲

40年史」小谷野敦著を貸してもらうことになりです。副題には、「私のテレビ

桟敷」とありますので、小谷野さんはどちらかというとTVで相撲観戦をしてい

る方のようであります。

 四十年史ということですから1980年からのことが書かれているわけですが、

当方が相撲を熱心に見るようになったのは、ここ6年くらいのことでありまし

て、ほとんどが知らないことばかりであります。

 この期間にあった八百長のことや、野球賭博のことなどもほとんど知ること

がなくて、そのまま相撲は不人気興行になってしまうのかなと思ったら、思っ

てもみない人気を得るようになったのですが、いいときもあれば、悪いときも

あるということで、取り組んでいかなくてはいけないことです。

 この本は、小谷野さんの関心にあわせた記載がされていることで、たとえば

次のような記述。

「2007年二月に、白鵬学習院大学四年生で徳島県出身の和田紗代子と結婚式

を挙げたが、発表は事後の三月だった。二人とも二十二歳で、和田は妊娠して

いた。」

 相撲の本で、これを書くのが小谷野さんらしいことです。

 もう一つは、時代にあわせて自分史がぽつぽつとでてくるところであります。

1999年のところには、次のようにありました。

「このころ私は、阪大を辞めて東京へ帰るつもりでいた。同僚とのトラブルのた

めで、精神も病んでいたし、このまま大阪にいるつもりもなく、東京の私立大学

の公募に四件くらい出したが、うち二件の面接に行った結果、みな落とされた。

年初に出した『もてない男』という新書が売れているので、これでいけるかな、

とも思っていた。」

 当方が最初に読んだ小谷野さんの本は「もてない男」であったのかな。

 この流れで、離婚したこと、再婚したことなども書かれていて、この本は私

語りにもなっているのでした。

小谷野さんのプライベートというと「禁煙ファッシズム」を非難しているのです

が、喫煙にかんしての最近の状況(2017年)には、次のようにありました。

「なおこの七月十九日から、私は三十五年喫ってきた煙草をやめた。気管支が

苦しくなるようになり、口中に入れる噛みタバコ(スヌース)を併用していた

が、喫うのは限界だと感じたからだ。だがそれは長い禁断症状の始まりだった。

当初の一年はスヌースを使っていた。」

 この本を読むと、小谷野さんの父親の仕事までわかるようになっていて、相撲

のことよりも、こちらのほうが興味深かったかもしれません。

 こういう四十年史もありですね。