ほぼ終日雨の一日となりましたので、朝からずっと本を読んでいましたと
いえば、それらしいのでありますが、そんなことはなくて、TVで野球をすこし
みたり、身体を動かすためにジムへといったりでして、その間にすこし本を読む
ことになりました。
本日に読んでいたのは、庄野至さんの短編「黒猫の棲んでいるホテル」と松家
仁之さんの「泡」でありました。
「黒猫の棲んでいるホテル」は、当方の友人で新婚旅行にシベリア鉄道を利用
してモスクワへといった人に、紹介したところ読んで、ひどく喜んでくれました。
すこしコロナのためにうつ傾向にあったが、この小説を読んで気分が晴れてきた
とのことでした。ちょうど彼がモスクワで宿泊したホテルが、この作品で黒猫が
棲んでいるといわれている「ウクライナホテル」ということもありまして、彼の
気分にぴったりであったようです。
そんなに喜んでもらったら、当方もまた読み返しをしなくてはということで、
本日に再読です。この小説は「さらばシベリア鉄道」という歌が好きな人にも
おすすめの作品であることです。
もう一冊、松家さんの「泡』という作品は、舞台が「東京から遠く離れた海辺
の町で、温泉と海水浴の町、砂里浜」とありまして、いろんな細部をつなぎあわ
せますと、南紀白浜あたりのことを思い浮かべてしまいます。
そんな町で登場人物が経営するジャズ喫茶「オーブフ」というところに集まる
人たちの話となります。(まだ途中までしか読んでいないのですが。)
いままで読んだところには、店名「オーブフ」の由来は明らかになりませんが、
ほとんどなんともかぶらないオリジナルの店名でありましょうか。
それはさて、ジャズ喫茶でありまして、そこそこの再生装置でレコードで音楽を
流していますので、スピーカーは何かなとか音楽は誰がやっているものかなという
ことを思いながら、脇道にそれていくことです。
「薫は音楽ならなんでも聴いた。ジャズも好きだった。しかもこんなにいい音で
聴くのははじめただった。・・『オーブフ』のスピーカーやプレーヤー、アンプ
は見たことのない外国製で、しかも使いこまれて古そうに見えた。
閉店後、掃除しながら聴くビックバンドの男性ヴォーカルが好きだった。
『 Be wise, be fair 』で始まる『Too close for confort 』という歌がとりわけ
気に入って、歌詞カードで確かめた。」
薫くんというはジャズ喫茶に東京から寄留している主人公(高校生)であります。
上に引用したところからは、再生装置はわかりませんが、このお気に入りの曲が
はいった男性ヴォーカルのものといえば、これは断然メル・トーメでありましょう。
この下りをみましたら、当方の頭のなかではメル・トーメの朗々とした歌が流れて
きました。もちろんバンドはマーティ・ペイチのものですね。
久しぶりに、この歌を聴いてみることにいたしましょう。