本日は大寒 2

 大寒は昨日で、本日は違うのでありますが話のいきがかりで、「本日は大寒」と
いたしました。
 昨日は、この時期に読んで身体のあったかくなる本はなんだろうかと思っており
ましたが、思っているうちに時間切れとなってしまい、具体的な話にはなりません
でした。
 当方の住んでいる地域の寒さなど、しれていると思うことにしました。
「人間の住む家の内部以外にある物なら何でも直ぐ凍ってしまう冬だった。私は
小さな十字鍬と円匙と鉄棒を肩に担いで、ゆがんだ橋を渡り、この町の中へ入って
いった。私の任務は、町の公共施設部の仕事として、この穴に捨てられた汚物を
片付けることだった。私は先ず第一の穴に到着し早速仕事に取りかかった。
第一の穴、これはまったく恐るべき相手であった。そこには長い年月に亘ってあら
ゆる物が捨てられ堆積し輻輳し交錯して、その上に汚水が浴びせられ、すべてが
完全に凍りついて、穴は一個の小高い丘となって柵を埋めていた。この穴を元の穴
に還元すること、これが私の労働と言う訳だった。私はちょっと立ち止まって私の
仕事場を見廻したが、寒気ーこの何よりも厳しい監視者ーが私に立ち止まることを
許さなかった。・・私はしょっちゅう身体を動かし、これによって自分の内燃機関
を燃え立たせて、いわば体内のスチームを少しでも暖める外に仕方がなかった。
絶えず足踏みをしながら私はかちかちに凍りついた塵芥の山の麓をすこしずつツル
ハシで取崩しにかかった。」
 長谷川四郎さんの「シベリア物語」にある「掃除人」の冒頭部分からの引用であり
ます。
 寒さというのは比較の問題でありまして、この寒さとくらべると当方の住んでいる
ところの寒さなんて、問題にはなりません。
 チェーホフの本にある有名な一節、たしか「シベリアの旅」にあったものではない
か。当方はその部分だけをのぞきみしたことがありです。
 ある人のブログにある引用から、孫引用。 
「 『シベリアはどうしてこう寒いのかね?』『神様の思召しでさ』とがたくり馬車
の馭者が答える。」
 日本の詩人 サトウ ハチローさんは、次のようにうたっています。 
  「 アンサは満州へ行っただよ 
    鉄砲が涙で光っただ
    モズよ寒いと鳴くがよい
    アンサはもっと寒いだろ 」