思い残すことはないかと( 小沢信男さん )

 いまほどネットを見ていましたら、小沢信男さんが今月3日に亡くなっていた

とありました。内輪の葬儀を終えてから発表となったようです。

今月の「みすず」連載は掲載されていましたし、特にひどくお悪い話は聞こえて

おりませんでしたので、かなり驚きました。

 そうはいいましても年齢に不足はなしでありまして、たぶん先月まではいろ

いろな役割を、こなしておられたのではと拝察です。それだけに、長く関わって

こられた「うえの」とか墨田区の俳句会の皆様は、きっとショックを受けておら

れることでしょう。

 当方は、半世紀ほども前からのファン(ただ長いだけ)というだけの話ですが、

ずいぶんといろいろと教えてもらったことであります。もっとちゃんと文章を読ま

なくてはと、叱られもしました。

 一番最後に叱られたのは、昨年5月のことでしたが、どうしてこのことでそんな

に怒られるのかなと思ったのですが、あとで「みすず」連載を拝見して、その頃に

弟さんがお亡くなりになったということを知りました。他のご兄弟の皆さんが亡く

なられて、そのことで気持ちが不安定になっていたのでしょう。

 若い時に結核に罹患し、いつ亡くなっても不思議でないと思いながら、戦後を

生き抜いてこられました。90歳になったころにも持病が悪化して入院し、「みす

ず」の連載を落として心配されましたが、奇跡のような復活をとげ、ここに至って

います。

 コロナ禍が続き、肺に疾患を抱える小沢さんにとっては、非常に厳しい日々が

続いていたと思います。この身体でやるだけのことはやったよと言われそうな気が

しています。

 それに続いては、あとは君たちにもっとやってもらわなくてはでしょうか。

 いろいろありがとうございました。

ぼくの東京全集 (ちくま文庫)

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