亡くなって復活か

 先日のニュースに2019年からお休みとなっていた川端康成文学賞

今年に再開されるとありました。川端康成文学賞川端康成記念会という

団体が主催でありまして、お休みとなったのは記念会が負担していた財源が

少なくなってきたためと言われていました。

 お休みに入った時の財団のトップは川端香男里さんでありましたから、この

方は他からの資金援助を受けての文学賞の継続を潔しとしなかったのかも

しれません。その昔の人気作家であった川端康成さんも、没後50年近くに

なって、毎年印税がたっぷりとはいかなかったでありましょう。

 ここに来ての再開と、先月に川端香男里さんが亡くなったこととは関係が

あるのでしょうか。

 それにしても川端香男里さんが亡くなって、あちこちで追悼などを目にする

かなと思いましたら、ほとんど見かけることがなく、一番の話題が川端賞再開

というのでは、ちょっとさびしいことです。

 もちろん、川端香男里さんはロシア文学者でありまして、一番最初に知った

のはザミャーチン「われら」の翻訳者としてでありました。次に話題となった

のはバフチンの翻訳者としてでしたね。 

 バフチンの翻訳の元版は1974年刊行でしたから、その時代によくぞ翻訳が

できたなと思いましたが、これの翻訳が可能となったのは川端香男里さんの

おかげでありましたね。 

 ということで、2月3日に亡くなった川端香男里さんを悼みながら、川端康成

文学賞が今年に復活することを喜ばなくてはです。