中国の秘境・謎の民か

 本日はお昼をはさんで体育館で1時間半ほど身体を動かし、戻ってからお茶

をのみながら、ぼーっとしてテレビを見ることになりました。

ちょうど中国の遊牧系の人たちが10キロの乗馬レースに挑むところをやって

いたもので、これは内モンゴルの人たちであるのか、スーホーの白い馬のよう

でありますなと感じました。

 もともとモンゴルの人々が話す言葉を聞き取れるわけではないので、この人

たちはモンゴル語を話しているのだよなと思っていたら、ナレーションと字幕

には、トゥバという文字がでてくるのでありました。

番組の名前には「謎の民」とあります。そうかこの番組でいうところの謎の民

というのはトゥバの人々でありましたか。

 モンゴル民族は居住していた地域が3つの国に分割してしまったのですが、

それよりもずっと人口は少ないのですがトゥバ民族もロシアとモンゴルと中国

に国が別れることになって、今にいたっています。

 このなかで一番数奇でありましたのは、1921年から23年間だけ独立国

であった「トゥバ人民共和国」でした。

当方がこのトゥバのことを知ったのは、田中克彦さんの本によってでありまし

て、そのあとに岩波文庫「トゥバ紀行」を読むことができたものです。

トゥバ紀行 (岩波文庫)

トゥバ紀行 (岩波文庫)

 

  この23年しか存在しなかった人民共和国は、ソビエトロシアが外モンゴル

独立させるのにあわせる形で、外モンゴルの一部をを削って独立させ、23年後に

「トゥバ人民の切望により」ロシア共和国の一自治州となって、人民共和国は消滅

してしまったのです。

 トゥバ民族はそういうわけで一度独立国家(?)を樹立したことになりです。

もちろんこの国家からはみだしたトゥバ民族もいまして、それが本日のTVで目に

した中華人民共和国エリアで生活する人たちです。(たぶん同様にモンゴルにも

いるのでしょう。)

 本日にこのTVを見ていて一番印象的であったのは、トゥバの家族三代の有り様

でありました。

 遊牧生活を続けていてゲルで暮らしている祖父母、この子ども世代は遊牧はし

ていますが、自動車を持つようになってモバイル通信をやるようになっています。

さらにその子ども世代で、優秀な孫さんは上海の高校に通い、この集落から初め

て大学へ進学することになったと紹介されていました。

年格好でいくと幼稚園児くらいの子どもが祖母のところにいって、祖母が孫に

一緒に歌を歌おうと、トゥバにつたわる古謡を教えようとするのですが、孫は

まるでそれに興味を示さないどころか、トゥバの言葉自体になじんでいないの

でありました。(これは明治期の北海道におけるアイヌ民族への教育に同じで

あります。)

 そういえば、中国での学校教育では中国語しか教えないのでありますからし

て、ある意味ロシアよりも少数民族は生きにくくできているようであります。