パトリオットという言葉は、拙ブログにはあまり似つかわしくないもののようであ
りますが、本日、手にしていた本にこれが登場しました。
もちろん、地対空ミサイルやジープ、ましてフットボールチームの話ではありませ
ん。
「モンゴルは、たった三百万人足らずの人口で、日本の四倍の国土を持ち、北はロシア
と三千キロ余、南は中国と約五千キロ、あわせて八千キロメートルの国境を接しなが
ら、いずれも手ごわい二つの大国の間に密封された国にしてはよくやっているので、
ぼくはどうしてもモンゴル・パトリオットたらざるを得ないのだ。」
パトリオットの語源は、ラテン語で意味するところは「祖国」だそうでありますが、
英語ではこれが「愛国者」を意味することになります。ミサイルなどの場合は、まさ
にその意味での名付けとなります。もともとは「祖国を愛する者」でありましょう
から、「モンゴル・パトリオット」なんていう言い方は、おかしいと感じることで
しょう。
こういっているのが、田中克彦さんであるとわかると、それは納得してしまうので
ありますが。
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てきた、内モンゴルからの留学生フフバートルに出あった。するといきなり、かれは
やっぱりねと言った。かれの言うところによると、改札口をでたところで、ぼくが
やってくるのことを知ったという。七十メートルもあろうという遠くから、ぼくの
においをかぎつけたのだ。どんなにおいかと言ったら、古い本のよいうなにおいだと
いう。なるほどその直前までぼくは研究室に閉じこもっていた。こうした例はモンゴル
人で、くわしい人に書いてもらえばもっといろいろあると思うが、この辺にしておこ
う。だいじなことは、まじり気のない自然の大草原の中では、いきもののにおいが
いかに多くのことを伝えるか知っておくことだ。」
この本の内容は、書名となっているものでありますが、当方はそのなかでも田中さん
の「モンゴル・パトリオット」のところをおもしろがっています。
たった人口三百万人であるにも関わらず、日本の大相撲の上位にはずらりモンゴルを
祖国とする力士たちがならんでいます。今場所は日本人として久しぶりに大関となった
力士がいて、その方が活躍して盛り上げるのであろうと思っておりましたら、当方が
初めて耳にする力士が大活躍で、その力士はモンゴル出身で、しかも遊牧をなりわいと
する家庭で育ったときいて、「モンゴル・パトリオット」は大喜びをしているであろう
と思った次第です。