とりあえず読了

 ブルース・チャトウィンの「ウィダーの副王」をさらっと読みました。

ウイダーの副王

ウイダーの副王

 小説は本文200ページですから、短い中編でありまして、すぐに読めてしまいそう
なものですが、そのわりにはずいぶんと時間がかかってしまいました。
 ほとんどなじみのない西アフリカの小国とブラジルを舞台にしたフィクションです
が、読みやすい文章で、小さなエピソードを連ねていて、作品の最後までいくのは、
そんなに難しいことではありません。
 それじゃ、作品の枠組みなり仕掛けが頭にはいるかといえば、小さなエピソードに
登場する人が、あとでクローズアップとなったり、伏線が隠されたりしていて、前に
戻って読み返してみなくてはとなります。
 もうひとつは、西アフリカや奴隷制度について、こちらがほとんどわかっていない
ことによります。
 ということで、参考となるのが訳者 旦敬介さんによるたいへん有益な解説です。
本文を一度さらっと通して読んでから、この解説を読んで、もう一回本文を読むと
いうのが、この作品をすこしでも理解するためにはいいようです。
(当方も、もう一度読んで見なくてはいけません。)
 この作品を読んだ人は「百年の孤独」のことを思い浮かべるようです。
(このことは、旦さんの解説にも言及がありです。)
 どちらも家族の物語であるということでは似ているのかもしれませんが、それ
だけでありまして、読後感はまったくことなります。
チャトウィンには「百年の孤独」への敬意があるようで、それが「百年の孤独」を
想起させる言い回しにつながっているようです。
これについても、旦さんの解説を見てくださいです。