「みすず」読書アンケート特集

 先日に届いた「みすず 読書アンケート特集」を手にしています。

 今回は144名の方の回答を掲載とのことです。小さな文字でぎっしり組まれ

ていますので、どのくらいの文字数になるのか、最初は気になる回答者と気に

なる本のところで歩みをとめることになります。

 今年も伊東光晴さん、山田稔さんという長老お二人が回答されていて、やは

りこのお二人があげるものは気になることであります。

 そういえば、今は合併号になっているのだけど、その昔は1月号にあわせて

読書アンケートが掲載されていたのだよなと、まだ普段と同じページ数のなか

でアンケートを収録していた時代の「みすず」を取り出してくることになり。

 薄い1月号でアンケートを掲載しているのは、1982年のもので終わりなのかな。

その翌年(1983)からは、後ろに図書目録がついて厚くなるのでした。

まあそれがどうしたという話ではありますが、その時代には、今は亡くなって

しまった学者さんや文人たちが、まだ現役であったのですよね。

 これに回答を寄せていて、今年も回答している人を見つけるほうが大変であ

ります。(花崎こう平さんがそのお一人でありました。)

 丸山真男井筒俊彦高杉一郎杉浦明平なんて方々がいるなかで、本日に

紹介するのは、フランス文学者 中島昭和さんの回答であります。

名前に昭和とありますことからわかりますように、昭和に改元された翌1927年

生まれでありまして、2013年に亡くなられています。作家 中島京子さんの

お父上となります。

 回答したのは81年中ですので、その時54歳くらいなのかな。

 1 中世ヨーロッパ 堀米庸三 中央公論社 昭和36年3月

 2 李陵・山月記  中島敦  新潮文庫  昭和53年6月 

 3 鴨涯日日    生島遼一 岩波書店  1981年10月

 4 モーリアック書簡           1981年

 5 Minuit                   ジュリアン・グリーン  1955年

 なんともゆったりとした回答でありまして、1981年中に読んだもの

の中からの回答でありますので、新刊である必要はまるでないのでありま

すね。

 最近のアンケートではなんとなく比較的新しいものが多くて、このよう

なゆったりとした感じにならないのが残念なことです。たぶん、本が売れな

くなっていることと関係があるようなないようなですが。

 極めつけは杉浦明平さんでありまして、あげている5冊はすべて旧刊で、

しかも30年ほど前のものでした。

 1 洋学史の研究    佐藤昌介  1950年 中央公論社

 2 日本中世史の民衆像 網野善彦  1951年 岩波新書

 3 蘭学の時代     赤木昭夫  1951年 中公新書

 4 ウィルスとガン   畑中正一  1951年 岩波新書

 5 小説 富岡啓明   河村秀明  1949年 甲陽書房

 このようにあげているのも見てみたい気がしますですね。  

 (杉浦明平さんのあげている本の刊行年に関して、山鼻村様よりコメント

をいただきましたて訂正が必要ですが、こちらはそのままにしておきます。)