外出より戻りましたら、新潮「波」9月号が届いていました。このところ
一番楽しみにしている定期刊行物であります。
今月は表紙がレトロでいいな、誰のイラストかしらと思って見たら、絵は杉浦
非水とありました。なんとレトロというか、当時のモダンでありました。
この表紙絵は、東京地下鉄道株式会社が上野浅草間開通の時に作ったポスター
でありますので、1927(昭和2)年のものですね。昭和2年といえば小沢信男
さんが生まれた年でありますが、今から94年ほども昔のものでありますのに、
ほんとモダンなことでありまして、これに描かれているのが当時の東京と思い
たいですが、もちろんこんなにカラフルではないでしょう。
それにしても杉浦非水さんはすごいですね。そう思って検索をかけてみました
ら、ちょうど今月30日まで島根県立石見美術館で「杉浦非水 時代を開くデザ
イン展」を開催中とのことです。まだ間に合うか、それとも緊急事態で臨時休館
かな(たしか島根は緊急事態地域ではないはず。検索しましたら、入場制限をしな
がら開催しているとのことで、お近くの人は是非にですね。島根は杉浦非水さんが
教員をしていらしたところとのこと)
当方が杉浦非水という名前を知るに至ったのは、改造社の円本「現代日本文学
全集」の装幀をされていたからですね。この全集はめちゃくちゃ売れたことも
あって、その時代の本好きの家庭には、たいてい一冊、二冊とあったはずでありま
す。当方のところにもあったのですが、いまでも捨てられずにあるだろうか。
(これはあしたでも調べてみることにしましょう。)
そうそう「波」の表紙絵にどうしてこの杉浦非水さんのポスターが使われている
かといいますと、門井慶喜さんが新潮から出した小説が、日本で最初の地下鉄の話
だからだそうです。
「波」9月号には門井さんが「地下鉄が拓いた昭和という大衆の時代」と
いう文章を寄せています。(それにしても「地中の星」というタイトルには苦笑
ですね。思わず「地上の星」というのを思いだしてしまいました。)