みすず読書アンケート 2

 山田稔さんがあげているのは、古本愛好家たちのブログで話題となる本が中心であり
ました。まるで古本ブログの仲間のような親近感を抱くことであります。
 山田稔さんと小沢信男さんは、ともに「バイキング」同人であったこともあり、富士
正晴さんを介して互いの存在は知っていたのでしょうが、お住まいが京都と東京と離れ
ていることなどもあって、どのくらいお会いする機会があったのかと思います。
どちらも文壇人ではないことや、自分のペースをまもって制作をつづけていたせいも
あって、距離的には遠くても、その世界は重なりあうところもあって、当方は、ほとん
ど「またいとこ」的な存在ではないかと思ってしまいます。(となると富士正晴さんと
長谷川四郎さんが従兄弟となりますでしょうか。富士正晴さんと野間宏さんは義兄弟と
いうのは、本当の話。)
 小沢信男さんの「読書アンケート」も拝見してみたいものと思いますが、小沢さんは、
ここ二年ほど「みすず」表紙裏に「賛賛語語」という連載ページをもっているせいも
あって登場せずであり、これはちょっと残念です。
 今回の「読書アンケート」は148名の方が回答を寄せたとのことです。たしかこれは
到着順での掲載ではなかったろうか(昔はそうであったように)と思います。昨年回答
を寄せていた坪内祐三さんは、今年はないが、間にあわなかったのか、依頼がなかった
のか、回答しなかったのか、これは余計なことでありますか。
 今年に初めて目にとまって、今年からこの人は回答を寄せているのだなと思い、念の
ために昨年のものを確認してみたら、昨年もあったりして、読むたびに発見がありです。
 今年の「アンケート」で目を引いたコメントは、これでしょう。
「今年は何といっても、マルクスに尽きる。『資本論』全三巻を、大月書店の『マルク
ス=エンゲルス全集』であらためて精読したのだった。私見によれば、大月書店の
『マルエン全集』は日本の書籍文化の記念碑のひとつである。おそらくあれだけの規模
で、あれだけの研究者が文字どおり心血をそそぐ企画は、今後、二度と現われないだろ
う。」
 細見和之さんによるアンケート回答文の冒頭にある文章からの引用です。岩波
「図書」に掲載の文章で知ることになった細見さんですが、「書籍文化の記念碑」と
いうのは、「マルエン全集」にはまったく縁がない当方にもそうだよなと思わせる
ものがあります。