今年の試験問題は

 今年から共通一次でも、入試センターでもなくて、大学入試共通テストと

いうのだそうです。何がどのように違うのかは、共通一次にも縁のない当方に

はまるでわかりません。

 2020年というのは東京オリンピックが話題となった年ですが、大学入試の

あり方が変わるということも話題となっていましたね。身近に大学入試を控え

ている人がいないこともあって、どうでもいいやと思いましたが、巻き込まれ

た受験生はお気の毒でありました。

 そういえば、当方が高校を卒業した年には大学闘争(紛争ともいいますね)

の影響で、東京大学のみ入学試験が中止になりました。そのことは当方には

ほとんど何の影響も与えなかったのですが、この学年を主人公にした小説が

生まれて、ベストセラーになりましたです。(もちろん薫くんシリーズ)

 共通テストの問題は、新聞に掲載されて目にすることができるのですが、

当方の関心は、国語の近代文でどのような小説が取り上げられたかであります。

以前には加賀乙彦さん、野呂邦暢さんの作品が取り上げられたことがありまし

て、出題される人は、けっこうマイナーな作品が好きなようです。

 今年の小説は加能作次郎の「羽織と時計」からでありますからして、これは

また格別に知られていない作家さんですよね。亡くなってすでに80年で、作品

が書かれたのは1918年ですから、100年も前の作品です。

 当方が受験生であったころに100年前の小説といえば、江戸から明治に入る

時代のものでしたので、今の気分ではほとんど古文という感じでありましたが、

それとくらべると、もちろん近代文でありますので、読むのはそんなに大変で

はありませんでした。

 この小説を読んでの設問には、この小説について書かれた宮島新三郎さんの

批評を読ませて、さらに回答を求めると仕組みになっていまして、これはなか

なか手がこんでいることです。

 全体で50点の配点だそうですが、これを読んで設問に答えようとしますと、

「説明として最も適当なものを選べ」とあるのに、どれもが適当に思えてし

まって回答に迷ってしまうことです。

 あと何回か読んでみて、回答してみることにしましょうか。とうてい合格点

はいただけそうにありません。まあ、頭の体操ということで。 

羽織と時計

羽織と時計