時間に追われることで

 ちょっと前に年が明けたと思ったら、もう今月も残りのほうが少なくなっ

ていました。なんとも毎日が早く過ぎてしまうことです。これは年齢のせいも

あるのでしょうか。

 いつも月曜日はあれこれと忙しいのでありますが、本日も散歩に、パン作り

家人の足の確保、そして買い物とやってましたら、自由時間がいくらもなかっ

たかな。専業主婦の方々が口々に、毎日が家事に追われて忙しいということが

よくわかることです。

 年末から年明けに届いた出版社のPR誌や「本の雑誌」などにも目が通せてい

ないことです。そんなことで、だいぶん遅くなってですが、机のまわりにおい

てある冊子をひっぱりだして、話題にすることにです。

 出版社のPR誌では編集後記を楽しみにしているのですが、もうだいぶん前に

「図書」で坂本さんが書いていたときは楽しみにしていたのですが、最近は

すっかりまともになっていて、もうすこし楽屋話が聞かれてもいいのにと思う

ことです。

 そんななか、最近のPR誌の編集後記で当方が一押ししているのは、新潮の

「波」でありますね。1月号の後記は、次のように始まります。

「20年で最も刺激的だった朗読は9月28日深夜にラジオで聴いた伊集院光さん

カフカ『お父さんは心配なんだよ』。これはボルヘス澁澤龍彦偏愛の掌編

小説(文庫本で2ページ)で、今まで『家長の心配』等と訳されてきたのを

多和田葉子さんが新訳したもの(集英社文庫『ポケットマスターピース 01

カフカ』所収)。」

 まずは、取り上げているのが朗読というのが珍しい。普通は小説とか印刷さ

れたものでしょう。それに深夜放送で朗読されていて、朗読しているのは伊集

院光さんでありますよ。さらには、これの元になったテキストが他社文庫のも

のという、まるで破格ですよね。

 上に引用したのに続いて、すこしカフカ作品に触れて、それから自社出版物へ

と誘導して終わるのですが、それにしても自社出版物(筒井康隆さんの『虚構

船団』)へと導くのですが、まずはそのまえに多和田訳のカフカを読んでみたい

と思うではないですか。

 それに伊集院光さんに興味を覚えることです。伊集院さんは、「百分で名著」

にも出演していますが、インテリ受けする芸人さんなのですね。

虚航船団(新潮文庫)

虚航船団(新潮文庫)