くまさんあたしを

 朝に外出の支度をしながら、時計代わりのTVに目をやりますと、お笑いの

女性タレントがでていました。朝からずいぶんと声が大きくて騒々しいなと

思っていましたら、彼女の高校時代の思い出をかたるところで、高校では文芸

同好会に入っていて、その会報「くまさんあたしをたべないで」に詩のような

ものを寄稿したことがありましたと言って、ガリ版刷りの会報が映し出されま

した。

 おいおい待ってくれよ「くまさんあたしを」というのは、あれのことかよと

思いながら、外出する時間となり、戻ってからこれについて調べることになり

です。

 この「くまさんあたしをたべないで」というのについては、ほとんど情報が

なかったのですが、これが中高女学校文芸部が発行するもので、どうやら現在

にも続いているようとわかっただけでも、これは愉快な情報でありました。

 そのことを教えてくれた本日のゲスト いとうあさこさんに感謝でありますね。

 これについて当方が知ったのは大岡信さんの文学的断章「年魚集」1976年にお

いてでありました。

 昨年に春陽堂WEBの「オカタケな日々」をみておりましたら、久しぶりに古本

屋で「年魚集」を購入したとあって、それに収録の「くまさんあたしをたべない

で」のところを取り上げていたのを目にして、この「くまさんあたしを」に注目

するとは、さすがに岡崎さんだと思っておりました。

www.shunyodo.co.jp それにしても、大岡信さんがとりあげる女子高生の雑誌が、それから45年

ほど経過して、お笑いのいとうあさこさんにつながるというのが、思いがけ

ない話であります。

 いとうあさこさんは、その昔に大岡信さんが先輩たちが雑誌を発刊した頃

に「ユリイカ」の「文学的断章」でこれを話題として、その文章は「年魚集」

に収録されているなんて知っているだろうか。(文芸部では伝説となっている

かもしれませんね。) 

 岡崎さんのコラムをご覧いただければおわかりいただけますが、「学校は

都心部にあるミッション系の女子高校」(大岡信さんがそう書いているのです

が)とありますので、これがいとうあさこさんが通っていた学校ということに

なります。それにしても、あの学校の雰囲気でいきますと、いとうあさこさん

は、ほとんど異端児であったのでしょうね。

 ほんとうに思いがけない情報が、思いがけないところに仕込まれていること

で、最後にガリ版で雑誌が映ったところを録画しておくんだったなです。