最近手にしている本 7

 TUTAYA系のリサイクルブックショップで購入した三冊のうち、最後のものです。
 久しぶりに講談社文芸文庫で百五円のものを発見しました。(大江健三郎さんのもの
などは見かけることがあるのですが。)

木山捷平全詩集 (講談社文芸文庫)

木山捷平全詩集 (講談社文芸文庫)

 マイナーな作家のための「講談社文芸文庫」でありましたが、最近はあまり食指の動く
ものがありません。かって一般文庫で刊行されていたものを再文庫化というのは、たしか
に文芸本を流通させるためにはいいのですが、その昔に一般文庫ででていたものを安価で
取り扱っている古書サイトがあったりしますので、もうちょっと違ったものでいいのでは
と思ったりしますが、超マイナーなものは売れないからしょうがないか。
 木山捷平さんはあまりなじみがないのですが、自宅のどこかに旺文社文庫からでていた
ものがあるはずです。旺文社文庫は、赤尾の豆単とか蛍雪時代、学参であげた収益を
つっこんでなりたっていたものと思われますが、最近話題となった小山清さんのものも、
当方が最初に手にした文庫は旺文社でありました。かっての旺文社文庫を、いま探して
いる人は多いのでありましょう。
 マイナーな作家が好きな人に木山さんは人気があるらしく「講談社文芸文庫」には、
何冊もはいっていますが、これまたマイナーな作家 岩坂恵子は木山さんの文芸文庫
の解説を書いたことで、「木山さん、捷平さん」という著書をだすにいたっています。
 堀江敏幸さんの「日本現代文学の文庫本をめぐる五十の断章」にも木山捷平さんの
文庫本が登場します。
 講談社文芸文庫氏神さま・春雨・耳学問」についての堀江さんのコメントでありま
す。
「人が信用できるできないということを、どこで見分けたらいいのだろう。小沼丹
随筆に、井伏鱒二の肝いりで開かれた、まだ売れない頃の木山捷平を『励ます会』の話
が出ている。勇気づけようと集まった面々に、当人は笑いながら『そんなこと言ったって
注文が来亡いんだからなあ』と言ったという。これを読んで、木山捷平は信用できるいい
作家だと私は思った。理由などない。そしてあらためて作品をたどり直し、いよいよ
その確信を強くした。」
 当方が、最初に堀江さんのことを認識したのは、この「日本現代文学の文庫本をめぐる
五十の断章」の初出のときでありました。いまは、「振り子で言葉を探るように」に
収録されています。