本日に図書館へと行きましたら、新刊棚のところに小田光雄さんの本が
ならんでいました。
小田さんがブログで継続されている「古本夜話」を定期的にまとめて刊行
されるのですが、「近代出版史探索」というタイトルで、今回で三冊目とな
りました。
一冊に二百話ほど収録しているということですから、三冊で六百話になります
が、現在は「千一夜」をこえていますので、最低でもあと二冊は出せる勘定とな
ります。
これと同じような趣向で「古本屋散策」というのがでていまして、当方はこち
らのほうがなじみがあって、面白かったのですが、どういうわけか、これは図書
館に入ることがなくて、大書店の店頭で立ち読みをしました。これは鹿島茂さん
が「ドゥマゴ文学賞」に選んでいましたです。
これまででたもの(「古本屋散策」も含めて)のページ数を合わせると
三千ページに近くなり、積み上げると二十センチにもなりそうです。
好きな人には、おおいに参考になるのですが、かなりマニアックなものに
なり、どのくらいの読者がつくのでしょう。
「近代出版史探索」には、当方もほとんど知らない世界の話ばっかしで
ありまして、間違ったように比較的新しい人が取り上げられていて、そこに
目が行くことになります。
本日の話題とする矢川澄子さんのようにです。野溝七生子さんについてを
話題にするなかで、矢川澄子さんの著作に言及するのですが、そのあとで
次のように続いていきます。
「矢川は『野溝七生子というひと』を平成二年に刊行している。・・それは
ひとつのレクイエムであり、かってのアルカディアの喪失、野溝や鎌田の死の
他にも様々な思いがこめられているようにも感じられる。そのことを記すた
めに、もう一編矢川のことを書かなければならない。
これは私たちの時代の出来事に属するし、戦後編でと考えていたのだが、
三回にわたって矢川澄子の『野溝七生子というひと』に言及し、そこに矢川
自身の『散けし団欒』とその投影をも見たばかりなので、ここで続けて書いて
おくべきだろう。」
ということで、例外的に戦後の矢川さんのエピソードが紹介されていくこと
になります。もちろん矢川さんのアルカディアの喪失となる話であります。