夏休みの映画

 夏休みに祖母のところに遊びに行きましたら、近くの映画館へと連れて

いってくれました。これは夏休みに限らず、正月でも同じであったのです

が、昭和30年代の前半の娯楽の王様は映画でありまして、明治生まれの

祖母にとって、子どもを連れていく場所といえば、まずは映画でありました。

 この時代に、小学低学年向けの映画といえば何があったのかわかりません

が、連れていかれた映画館は東映の二番館くらいで、その時代の東映といえ

ば、時代劇が中心でありましたので、大川橋蔵とか東千代之介中村錦之助

のものなどを見た記憶がありです。

 それから60年もたって、今も子どもたちの夏休みには映画を見るという

楽しみがありです。先日におくられてきた写真には、初めて映画館で映画を

みましたと言葉が添えられて、「ドラえもんのび太の新恐竜」のポスターの

前に立つマスク姿の子どもがうつっていました。

 この子どもたちの父親は「ドラえもん」が好きで、夏・冬休みといえば、

祖父に連れていってもらって映画を見てきたと報告してくれました。

 今年は、コロナのせいで夏休みの帰省はなくなりました。もし帰省して

いれば、かっての祖父母にならって、映画館へと連れていきましたものを。

 本日は、昨日に録画した「となりのトトロ」を見物しておりました。

とても有名な作品で、これまでにも見る機会はあったと思うのですが、どう

いうわけか未見でありました。

 昨年でしたか、子どもの動画がおくられてきて、それを見ていましたら、

子どもがなにかわけのわからないことをしゃべっているのです。これは

なにをやっている動画であるのかと問い合わせをしてみたら、あれは

トトロの一シーンを再現しているのだよとのことでした。子どもたちは

「トトロ」が好きで繰り返して見ているうちにほとんどセリフを覚えた

とかで、その印象に残っているシーンなのだそうです。

 それは「考古学教室ですか。草壁です」と電話をかけるところですが、

このシーンも含めて確認してから、子どもたちと話をあわせようという魂胆

です。  

 それにしても、子どもはどうしてこのシーンが強く印象に残ったので

しょう。あの電話をかけるシーンは、主人公たちの母が入院している

病院から電報が届いて、その内容を自宅を留守にしている父親に電話を

かけて知らせるというところですが、あの切迫した気持ちに反応したの

でありましょうか。

 子どもたちの気持ちも動かすジブリ作品というのは、訴える力が強いこと

でありまして、いまさらですが、すごいことです。

となりのトトロ [DVD]

となりのトトロ [DVD]

  • 発売日: 2014/07/16
  • メディア: DVD