東映ゲリラ戦記 7

 「ちくま」に連載の鈴木則文監督「東映ゲリラ戦記」を話題としています。
 東映のポルノ路線が、どうして生まれたかにというのは、これまで見てきたところです
が、これに社内の映画人たちのしのぎのけずりあいがあったようです。なんとなく、会社
の覇権争いのようなものが背景にあるようにも思えます。
 たとえば、鈴木監督が記する次のようなところにです。
「<東映ポルノ路線>の全責任を岡田茂映画本部長から任されている天尾完次プロデュー
サーは」とあります。ということは、この方がB面の製作責任者でありますね。というこ
とになるとA面の責任者は誰であります。
「温厚な教養人である渡辺達人企画部長は、東映のメイン路線の<やくざ映画>が俊藤
滋プロデューサーに一手に握られていることもあってか、天尾・鈴木コンビの
<ポルノ>路線には熱心に意見やアイディアを出すことが多く、本来大マジメな人だけに
ナンセンス、ハレンチなアイディアにも、どこか人間喜劇的ユーモアがあり意表を衝いて
面白かった。」
 俊藤プロデューサーというのは、映画界では泣く子も黙るという存在で、単に役者
藤純子さんの父親ということではないですよね。一時代の映画界の屋台骨を支えていた方
です。
この方の路線に対しての対抗軸をどうつくるかというのが、他社にとっても大問題であり
ましたが、同じ会社であれば、おまえたちは何をやっておるのかという話になるの
でしょう。
 鈴木監督が描く渡辺企画部長さんの話です。
「ナベさんんは、わたしや天尾と縁の深い内田吐夢監督を東映に所属する監督中のどの
監督よりも敬愛し、親交を結んでいたこともあり、内田吐夢監督を囲む酒席ではいつも
一緒の中であった。」
 なるほどな、内田吐夢監督というのは東映の主流をいっていた監督でありますね。
 それにしても、この当時にどの作品を見ていたのか、ほとんど思い出すこともできない
のでありますが、断片的に記憶に残っているところがありまして、それをてがかりに
検索をかけてみますと、作品にいきあたるのでありますから、すごいことであります。
 当方の記憶に残っているのは、山城新伍が記者のような役を演じて、あか新聞の名が
「アンネ日報」というものですが、これで検索をしますと、ちゃんと作品を紹介する
ページにあたりまして、やはり鈴木則文監督作品「女番長ブルース 牝蜂の逆襲」で
ありました。
http://www.ne.jp/asahi/gensou/kan/eigahyou51/onnabanchoblucemesubachinogyakusyuu.html