en-taxi45  2

en-taxi」45号のページをぱらぱらとめくっていて、目がとまったところについてで
あります。
 最近は、どのようになっているのかわかりませんが、小学校の夏休みには自由研究と
いう課題があって、それがために、家族で小旅行をしたり、資料館の見物などにいった
ものであります。夏休みの自由研究というのは、子どもたちにとってだけでなく、親に
とっても負担になるものであります。
 ライターさんやデザイナーさんなどは、きっと自由研究が大好きという子どもたちが
成長して、職についたのだろうなと思ってしまいます。というのは、「en-taxi」45号
で、名久井直子さんの文章を眼にしたからです。
「紙がとても好きで、その好きな紙ができていくところを見るのも好きで、国内の製紙
工場はもとより、中国や、つい先日はイタリアの製紙メーカーに赴いて抄造機を見てき
ました。一番好きな工場は北海道にある王子製紙苫小牧工場。新聞紙などを作っている
ところです。丸太が水路で運ばれ、樹皮を削られ、徐々に紙になっていく過程は大変
楽しく、工場に漂う木の香りにもうっとり、入植した人々がまず作ったという水力発電
の施設も趣がありました。たぶん五回くらい行っているのですが、行くたびに新たな発
見があります。」
 当方の住むあたりの小学校では社会見学で工場を見るとなりますと、ここが定番であ
りました。紙といっても、この工場がつくっているのは主に新聞紙とあとはかってわら
半紙と呼ばれた西洋紙(そんな呼び方はいまはしませんね。)でありました。
王子製紙苫小牧工場でつくるわら半紙は、苫更という製品名でして、その昔の学校の
印刷室には、必ずといっていいほどこの苫更というネームがはいったダンボール箱
おかれていたものでした。謄写版印刷またはその進化形であります輪転機にはこの更紙
がぴったりであったようです。
 この工場は、明治末期に操業を開始し、いまも同じ場所で稼働していますので、大き
な工場敷地を一般道路が横切るように通っておりまして、昔ほどではないのですが、
今も水路を丸太は流れ、その様子は道路から見ることができるようになっています。
 製紙工場が好き、一番好きなのは王子製紙苫小牧工場とあって、当方は単純にもよろ
こんでしまったのです。