本の入れ替え

 借りている本の返却期限が来たものですから、図書館へといって本の

入れ替えであります。ほとんど読むことができていないので、それは再度

借りることになりますが、他に借りたいという人がいなければ、ややしば

らく継続して借りることができます。

 この本などは、リクエストが入っていて延長できないだろうと思っていた

ものが、ラッキーなこと他に希望者がいないので、また二週間手元において

おくことができることになりました。

治したくない――ひがし町診療所の日々

治したくない――ひがし町診療所の日々

 

  斎藤道雄さんによる浦河町での医療レポートの第二弾となります。

統合失調症と診断されている人たちへの、ひがし町診療所スタッフの関わりが

書かれています。

 この診療所の川村先生の言葉はかぎ括弧で引用され、考え方は斎藤さんに

よって地の文に整理されています。ほとんど斎藤さんに川村先生が乗り移った

ような形となりです。

「精神病はかんたんに治すことができない。ほかの精神科医は大量の薬を使い、

症状を抑えて治したというかもしれないが、一見かんたんですばやく問題を

消し去るかのような『治す』を、わたしはしない。そうしたところで、問題は

再帰するだけなのだ。まずいっしょに考えよう。何が起きたのか、どんな苦労

があるのか、『症状』や『問題』の陰に隠れているものは何なのか、少しずつ

解きほぐしていこうではないか。病気の苦労と暮らしの苦労と、分けられると

ころは分け、それぞれの苦労の深さを見てゆこう。そこであなたは何を、どの

ようなことばにしてゆくだろうか。」

 東町診療所の川村先生は、最初はアルコール依存症の治療をメインにしてい

て、その後浦河で幅広い患者さんに出会うことになるのですが、浦河の病院勤

務時代に長期入院で社会から隔離することは、人にとって何もいいことはない

と、受け皿を作って退院を進めることにより、病院精神科は不採算となり、

それが病院コンサルから精神科は廃止するようにとの提言につながります。

 どちらの精神科病院も、たぶん似たりよったりでありまして、患者さんに

とってより良い医療を提供すると、たちまち経営が成り立たないという医療保

険制度なのですね。

 どのような病気になっても、自分にあった医師を見つけるというのは大変で

ありますが、なかでも精神を病んだ時に、自分にあった医療機関はあるのだろ

いうかです。

悩む力

悩む力

  • 作者:斉藤 道雄
  • 発売日: 2002/04/17
  • メディア: 単行本