図書館から借りている川村湊さんの「ホスピス病棟の夏」を走り読みする
ことになりです。(返却日が近づいているからですね。)
当方と同じ年に生まれた川村さんがやっかいながんにかかった同じ年の
奥様の聖路加ホスピス病棟での一ヶ月について記したのが第一部で、奥様が
亡くなって札幌へと転居して、次は自らの慢性腎臓病から人工透析に移行し
て、その日々を綴ったのが第二部となります。
特に奥様の最後の一ヶ月を記したところは、読んでいて辛くなることでありま
す。こういう立場に立たされたときに、自分はどうであろうかと、近年に妻をガン
で亡くした知人のことを思うことです。
川村さんは、次のように書いています。
「心療内科を受診した。死を待つだけのような亜子のそばにずっと付き添ってい
る私も、精神状態がおかしくなっている。不安と怖れ、悲哀、不眠、食欲不振、
便秘など、体調もすこぶる悪い。緩和ケア科のドクターに頼んで、心療内科の
予約を取ってもらった。・・たまたま一人のドクターの空いた時間があるから、
その時間に診察してくれるという。ずっと病院にいるのだから、こちらの都合は
いくらでもつく。」
川村夫人が入院していたのは聖路加病院でありますので、療養の環境として
は、たいへん恵まれたものではありますが、ご本人はともかくとして、ご家族に
とっては、亡くなっていく過程を見守ることでありますから、精神的にはよほど
大変なことになりです。
奥様の闘病生活に付き添うこともあって、自分の慢性腎臓病治療があとまわ
しとなって、そのことが人工透析につながっていくのですが、川村さんとすれば、
自分は透析となっても、奥様にはもっと生きて欲しかったのでありましょう。
本当に身につまされることであり。