先日にTVで病院ラジオという番組をやっていまして、それを見ておりました。
これはもともとベルギーか何かに元ネタがあって、それをNHKがサンドイッチマン
をキャスターにつかってシリーズ化しているものです。なかなか辛い闘病生活を
おくっている人たちとその家族が登場して話をしながら、曲のリクエストするもの
となります。
先月に放送があったのは依存症治療病院を会場にということで、久里浜医療
センターからの放送となりました。登場した患者さんはアルコール依存の人が
多く、それ以外ではゲーム、ギャンブル依存の方も登場したはずであります。
ちょうどそのころは、違法薬物所持や使用でタレントさんが警察に拘束されたり
した時期でありまして、そういう患者さんはでてこないのかなという興味で見てお
りました。
アルコール依存で入院している人が一番多くて、この人たちの話を聞いていま
したら、日本のテレビにおけるアルコール飲料広告の多さは、ほとんど依存症を
増やすためにやっているのではと思ったことです。他の国は知りませんが、日本
ではまだ若いアイドルといわれる女性グループがアルコール飲料を宣伝していま
すが、それってどうなのであります。
先日に届きました「みすず」3月号には、松本俊彦さんの不定期連載「かえられ
るもの/かえられないもの」の掲載がありました。
松本さんはどこまでいっても依存症患者さんの味方でありますので、そのあまり
に不法薬物使用を勧めていると誤解されることもあったりしてです。
臨床の現場で、松本さんは患者さんから「先生、どうして覚せい剤は使っちゃダメ
なんでしょうかね。戦前の『ヒロポン』の時代には喘息やうつ病の治療に使われて
いた、れっきとした医薬品じゃないですか。アルコールのほうがずっとやばいです
よ。」と言われ、これをどのように答えるか考え続けたとあります。
それは次のように続きます。
「二十年あまりの依存症臨床の経験を経て確信しているのは、あらゆる薬物のな
かでもっとも心身の健康被害が深刻なのは、まちがいなくアルコールであるという
ことだ。実際、アルコール依存症患者の多くが、糖尿病や高血圧、高脂血症といっ
た生活習慣病の塊であり、肝臓や膵臓、心臓の障害はもとより、多発神経炎や脳萎
縮のような非可逆性障害を抱えている。」
最近は自己責任でということがあちこちでいわれる時代でありますが、アルコー
ルを長期にわたって飲用して、その結果として病気になってもそれは当然そうなる
とわかっているのでありますから、医療保険の対象にはならないよという時代がくる
のでしょうかね。そうなると当然ながらアルコール飲料の広告は自粛となるか。
アルコール飲料業者にとっては、日本の医療制度はほんとありがたいと思われる
ことです。