なかなか気になる「薬物依存症」であります。普通の人(なにが普通である
のかは難しいところですが)は、ほとんど薬物依存の人に接する機会はないであり
ましょうね。
せいぜい思いあたるのは、ひどい不眠症に陥っていている方の睡眠薬依存で
ありましょう。当方も若い頃から双極性障害となっている友人が医師から処方さ
れる薬では眠ることができないといって、さらに効果のある薬を欲しいと訴えた話
を聞いて、これはほとんど薬に毒されているなと感じたことがあります。
彼の場合「医師の指示から逸脱した使用」をしているわけではないので、乱用
とはいえないのですが、依存症となる可能性は高いといえます。
覚せい剤と睡眠薬・抗不安薬の依存症を較べて、松本俊彦さんは、次のように記し
ています。
「覚せい剤依存症患者の多くは、少なくとも本人が自覚しているかぎりでは、『刺
激を求めて』『誘惑されて』といった、刺激・快楽希求的な動機から使用するのに
対し、睡眠薬・抗不安薬依存症患者の場合は、『不眠や不安を軽減するために』
『抑うつ気分を改善するために』といった、苦痛を緩和する目的から使用する人が
ほとんどです。・・・たとえ何らの快感をもたらさなくとも、『耐えがたい苦痛を緩和し
てくれる効果』があれば、その薬物は十分に人を依存症にさせる危険性がある、
ということです。」
睡眠薬や抗不安薬だけでなく、疼痛緩和のために使われる医療用麻薬なども
当然のこと依存症との背中合わせでの処方がつながることになります。
覚せい剤には手をだすことはないと思いたいのでありますが、睡眠薬のほうを常用
する可能性は否定できずで、薬物依存症というのは、違う世界の話ではないですね。
それでも覚せい剤常用者とは接することもないと思いたいのですが、仕事に
よっては、その人たちに向き合わざるを得ないことになります。そうした時に、あなた
ならどうするであります。