本日も基本は引きこもりでありますが、散歩はよろしいとのことですので、
午前にいつものコースを早足で歩くことになりです。気温はほぼプラスで
80分みっちり動いたら、汗がそれなりにでました。
読書は昨日に引き続きで四方田犬彦さんの「女王の肖像」を読むことに
なりです。四方田さんのものでは、最近は映画に関するものが多いのですが、
それはちょっと苦手でありまして敬遠しておりました。
今回の本は、子どもの頃から好きであった切手蒐集について書いたもの
でありまして、当方は四方田さんが切手蒐集が趣味であったとも知らない
ものですから、非常に興味深く読むことになっています。
この本は、子どものころからの切手蒐集について思い出が書かれていて、
さながら切手を通じての半生記の趣であります。
これまで四方田さんの作品には「ハイスクール1968」とか「先生とわたし」、
そして「母の母、その彼方へ」というような実録(?)系のものがありまして、当方
は、この流れのものが一番好みであるようです。
四方田さんの生い立ちについては「母の母」のなかですこし伺えるのですが、
これはタイトルからもわかりますように母方についてのものでありまして、そこでは
父親の存在は薄いのでありますね。
この本を見たら、父親のことが具体的に書かれていて、これを通してどこまで
父親に迫ることができるかであります。早くに父親と離れて暮らすことになった
はずですが、70歳も近くなってやっとこさ父親について書くことができるように
なったのかなとも思うことです。
「問題は小学校六年生の子供が、どうしてそのように珍しい場所の切手を次から
次へと入手することができたかということである。簡単に説明すると、それらはす
べて父親からもたらされたものであった。」
まずは、このように書かれているのでありました。父親は、息子が切手に興味を
持っていることを知って、外国の取引先との間でかわされる郵便の封筒を、息子
のために自宅に持ち帰ってきてくれたのだそうです。
それがために、四方田さんの切手の世界はぐんと拡がったのだそうです。
なるほどな、父親とのつながりには切手があったのか。
現在の商取引ではメールが中心になってしまっているでしょうから、外国郵便
物の封筒の切手でもって、父親と息子がつながるなんてことは考えられなくなって
いますね。