本日に数日遅れで「読売新聞」書評欄を目にすることができました。
読売新聞に掲載の書評は、当方の趣味にあうものが取り上げられることが
あって、見逃せないものとなっています。読売の主張からするとずいぶんと
距離のあるところにいると思われる藤原辰史さんが書評委員となっているの
ですが、昨年の年越しから今年にかけてインフルエンザにかかって、ふとんの
なかで過ごしていたのですが、その間に読んでいた「ニュルンベルグ合流」は
昨年の「読売新聞」で藤原さんがことしの三冊に選んでいたものでありました。
たぶん、次の日曜日に読売は、ことしの三冊が掲載と思いますが、藤原さんは
どのような本をあげるのでありましょう。
15日の読売書評では文庫を取り上げるところに中井正一さんの「日本の美」
をとりあげていて、そこにはこの文庫ではじめて収録された文章には、中井が
息子さんの死をなげく文言がありとでていました。
なんと、うかつなことで。文庫を買って、そのままにほっておいたのですが、
この文庫の解説には、そのことはでているのでありました。(本文読まなくても
解説はざっと目を通すはずなのに、まったくだめなことで)
解説を書いている木下長宏さんは、次のように記しています。
「『現代日本画の一つの課題』は、『三彩』1948年1月号に掲載された。つねに
抽象度の高い論理の世界の記述を心がけてきた中井正一は、筆を執れば、
家族のことなど語るようなことはなかったが、ここでは幼くして亡くなった息子
のことを買いている、というだけでも貴重な文章」
中井さんの抽象度の高い論理的文章には歯がたたず、「土曜日」コラムを
好んでいる当方でありますので、個人的なことについて書いてあるところは、
チェックをしなくてはです。
今回の中公文庫の216ページにそのくだりはありました。この文庫は、まだ
店頭で目にすることができるでしょう。ぜひとも立ち見をおすすめすることです。