家一軒分か

 本日も田中長徳さんの本「晴れたらライカ、雨ならデジカメ」から話題を

いただきです。

晴れたらライカ、雨ならデジカメ

晴れたらライカ、雨ならデジカメ

 

  この本ではデジカメが陳腐化スピードと比べて、銀塩カメラ、特にライカ

古びないことを話題にしています。その昔に家一軒分の値段であるといわれた

イカでありますが、最近では中古で入手しやすくなっているから、それでライカ

生活をしてみませんかとなります。

 最近のオークションを見てみましたら、本体だけでしたら10万円もださずに

入手できそうです。本体よりもレンズのほうがずっと高くてびっくりするのです

が。

 今はすっかり安くなっているライカですが、伝説の家一軒分の価格ということ

について、長徳さんが書いています。

「文豪 内田百閒の戦後日記の一番最後が昭和22年5月31日で、これは自分

の生まれた日である。その月の収入の収支を内田は記載していて、四万円弱の

収入の中から一万五千円が千代田区の四番町に二十坪ほどの土地を買った

支出で、あとは生活費とある。当時の闇の日本酒が一升五百円から千円ほどで

あったというから、当時の土地代はお酒が十五本分。そんなものであった。

調べてみたらその当時の中古のライカの値段が一万円から一万五千円であっ

たから、ライカ一台家一軒という神話は案外に真実をついていたようである。」

 このくだりを見て、四番町(先生が住まいを建てたのは六番町とのことです)の

土地のあまりの安さに驚くのですが、それよりも先生のその月の収入が四万円

弱とあるほうに驚きです。そういえばこのころの先生は売れていたのでした。

 中古ライカ一万五千円として、これが新品の6割としたら定価ベースでは2万

五千円くらいですか。たぶん、普通の人の月収は数千円でありましょうから一月

の月給では購入できないのはあきらかでありますが、1万五千円で家は建てる

ことはできたのかなと思うことです。

 この土地を購入して百鬼園先生が建築したのは三畳間が三つならんだ住宅

でこじんまりとしていましたから、ひょっとしてそれでたったのかもしれませんね。

 四番町の土地にはとうてい手が届きませんが、中古ライカなら小遣いを貯め

れば購入することができますが、これを確保して写真をとるとなると、これはまた

けっこう大変なことになりですよ。