さすがに手がでない

 本日は図書館へといって本を借りてきました。借りたのは、次の本です。

百鬼園 戰前・戰中日記 下

百鬼園 戰前・戰中日記 下

 

  上下があったのですが、まずは下巻を借りることとしました。この巻は昭和15年

から19年までの日記が収録されていて、時代的にはこちらのほうがより関心ある

ことから先に借りたものです。

 これまで百鬼園先生のものは、かなり買っているのですが、今回の資料は上下

あわせると1万円近くになり、さすがに手が出ませんでした。基本的なところは揃っ

ているので、あとは読むだけというのが百鬼園先生の著作ですが、この時代の日

記は、これまで未発表でありまして、これが本にまとまったことも不思議に思いま

したです。

 そんなこともあって、どうして今年に刊行となったかを見てみることにです。本の

凡例には、次のようにありました。

百鬼園 戦前・戦中日記』は、岡山県郷土文化財団所蔵の昭和十一年から

昭和十五年、及び昭和十八年の『文藝手帖』、昭和十六年の『三省堂手帖』。

昭和十九年の『日本郵船株式会社手帖』を定本とした。昭和十七年の手帖は

現存しないが、平山三郎氏による一月一日から四月二十二日までの翻刻原稿を

末尾に参考資料として収録した。」

 百鬼園先生が、岡山出身ということはもちろん承知しているのですが、平山三

郎さんが亡くなってから、平山さんの手元にあった先生に関する資料が岡山県

郷土文化財団に寄贈されていたとは知りませんでした。平山さんが生前に編集

した福武版新輯全集は手にしていなかったしね。

 ということで、この本を手にすると、最近の百鬼園先生に関する情報を得ること

ができます。記しているのは、文化財団の学芸員 万城あきさん。この方による

解題がとても参考になることであります。

この本の索引兼注もほんとありがたい。たとえば、次のごとし。

「 内田清子 百閒正妻。1893年生まれ。旧姓・堀野。1912年に結婚。

       その経緯を百閒は『戀文・戀日記』として刊行される書簡

       日記に書き残した。1964年没。本日記では『小日向の妻』

       と記載される。

  佐藤こひ 昭和4年から百閒と居を構える。のち、正妻・清子が没した

       1年後の昭和40年に入籍して、内田こひになる。  」

 黒澤明が映画化した「まあだだよ」で香川京子さんが演じた奥様は、もちろん

当時は内縁関係にあった「こひさん」のほうでありました。

 資料は保存して、展示して、解説をしてもらって生きることになりです。