本日の新聞夕刊をみましたら、「編集者をつくった本」という欄に中央公論
新社の並木光晴さんという方が、田辺園子さんの「伝説の編集者 坂本一亀
とその時代」をあげていました。
これの元版は持っているのですが、文庫になったのは手にすることもなしで
ありました。元版になにか加わっていることがあるのかなと思いながら、ちょっと
気になっています。
並木さんの文章を見ていて、ひっかかったのは次のくだり。
「大正10(1921)年生まれで、学徒動員により出征し、復員後25歳で河出書房
に入社。60歳で引退するまで出版に携わった。」
ひっかかったのは「60歳で引退」というところでありました。(これは、調べて
みましたら、そのとおりであることがわかったのですが、それはあとの話)
当方の思いこみでは、坂本一亀さんは河出をやめてから、構想社を立ち上げた
ので、すくなくとも60代半ばまで編集現場にいただろうというものでした。
そんなことから、当方が持っている数少ない構想社の本で確認をしてみました
ら、それは1978年のものでしたから、この時はまだ57歳くらいですか。
60歳くらいで体調を崩して構想社から退いたとありましたので、それから亡く
なるまで、現場に立つことはなかったのか。
これをきっかけに、田邊さんの本を探しだしてみなくては。
坂本さんと同時期に河出書房にいたした編集者さんは、自ら会社を立ち上げ
た人が何人かいたように思います。編集者から作家になった方はあちこちの会社
にいますが、編集プロではなく出版社を立ち上げたのは、この時代が一番多いで
しょうか。(河出では寺田博さんの作品社 金田太郎さんのトレヴィルとかが頭に
浮かびました。)
これらどの会社も、角川書店から独立した幻冬舎のようにメジャーになることは
ありませんでした。当然のことですが。