残った本は

 図書館から借りていた本を何冊か返却して、もう何ヶ月も借りっぱなしと

なっている(もちろん延長の手続きはしております)ものが、手元に残りました。

一般的に読むのが大変な本は、あまり他に借りてがいないので、けっこう長く

借りることが可能となりです。

 そんなわけで、いよいよ収録されているいくつかの文章を読まなくてはと

思って手にしたのが、次のものであります。 

真実が揺らぐ時:ベルリンの壁崩壊から9.11まで

真実が揺らぐ時:ベルリンの壁崩壊から9.11まで

 

 2010年に亡くなった歴史家による書評を中心とした論集となります。

 この本を長らく手元においているのは、その巻頭におかれた文章が、次の

ように書きだされているからであります。

英語圏の歴史家のうちには、明確に『ホブズボーム世代』と言えるような

世代がある。その世代は『長い60年代』、つまり1959年から1975年のあい

だのどこかの時点で過去の研究に着手した世代であり、近い過去についての

その関心が、エリック・ホブズボームの著作によって、たとえどれだけホブズ

ボームの出した結論を現在は否定していようとも、変えようもないやり方で

かたちづくられた人びとの世代である。」

 当方が学生の頃(1970年代のはじめ)には、ホブズボームの一般読者む

けの本が出回って、何冊か手にした記憶がありです。トニー・ジャットさんは、

当方よりも3歳年長でありまして、英国で歴史を学んだのですから、引用した

文章にある「ホブズボーム世代」というと、その代表にあたるのがジャットさん

でありましょう。

 まずは、ホブズボームへのオマージュとなる文章くらいは読まなくては。