本日の図書館で

 連休明けであります。当方の住むまちの市立図書館は、指定管理者が運営

していまして、休館日がえらく少ないのです。運営しているのはTRCであります

が、もうすこし休んでもいいのではないかと思うくらいです。他の市の施設は、

祝日は開館して、その翌日は振替で休館しているのですが、図書館は指定管

理者の意地で開けているようなところがありです。働いているスタッフは消耗す

るでありましょうね。本日に開館しているのは、あまり知られていなくて、本日は

いつもより利用者はぐんとすくないはずです。

 本日に図書館に足を運んだのは、先日に借りた本の冒頭で言及されていた

シュテファン・ツヴァイクの「書痴メンデル」を読んでみようと思ってです。この

小説はどこに収録されているのかと思いましたら、かってみすず書房からでて

いた「ツヴァイク全集 3 目に見えない コレクション」に入っているのが

わかりました。この全集は図書館にありますので、それじゃまずはこれを読んで

みようと思って借りにいったわけです。 

 1974年でありますので、これは当方が就職した年にでたのでありますね。

この全集の何冊かは購入したのですが、これはまったくマークしていませんで

した。手にしてみましたら、えらい活字(この時代でありますので、文字通り活

字を使って印刷されたもの)が小さくて、かっての文庫本に使われていたよう

な活字が、新書判ほどの大きさのページにぎっしりとつめ込まれています。

思わず、腰がひけてしまったこと。 

 この本を手にしてから、なにか新刊のところに面白そうなものはないかなと

思ってみましたら、こんなのがありました。

私のイラストレーション史

私のイラストレーション史

 

 へえー亜紀書房から南伸坊さんの新刊か。亜紀書房のページに連載した

ものが一冊になったとあって、70年代の亜紀書房のイメージしかない当方は

ちょっと驚き。

 南さんが中学2年の時に魅せられた和田誠さんへの感謝を一冊にしたもの

ですが、その感謝を記するのに、イラストレーション自分史という形をとっていま

す。

 あとがきから引用しますと、次のようになりです。

「試験に落ちつづけなかったら、木村さんにも赤瀬川さんにも出会わなかった

のだし、長井さんにもつげさんにも出会わなかっただけでなく、水木さんにも、

澁澤さんにも種村季弘先生にも松山俊太郎先生にも、巌谷國士先生にも会え

なかったのだった。

 私は横道にそれてそれて、結果、最短距離でいまの自分のところに来てい

た。」

 高校の受験に失敗し、その後に入学した工芸高校を卒業して東京芸大

落ち続けて、その時に受け入れてくれたのが「美学校」であったのですが、

ここに入ったことで、その後の南さんにつながっていくわけです。

 災い転じて福というか、万が一順調に東京芸大に入っていましたら、今の

南伸坊さんはなかったろうなと思わせる書きっぷりになっています。

これに元気づけられる人もいるでしょうし、だけどもやはり才能がなければねと

思う人もいるでしょうね。どっちにしても、楽観的に生きることが一番重要なの

でありましょう。