本日はお通夜に

 ご近所に一人暮らしでいらした老婦人が、昨日にお亡くなりになり、本日は

お通夜となりました。昭和7年にお生まれでしたので、86歳でありました。

 その方は、軍人であった父を早くに亡くし、戦後に女学校をでてから北海道

にわたり学校の教師をしていましたが、生涯独身で家庭を持つことはありま

せんでした。

 当方の母と茶道を通じての友人であったことで、当方はおせっかいをする

ようになったものですが、なんとなく「銃後の少女」がそのまま成長したような

感じでありました。別に軍国少女というのではないのですが、旧制女学校で

過ごしたプライドの高さを感じたことであります。

 ちょうど、このところ大正から昭和ひと桁の女性たちの生き方に関心があっ

て、そのような世代のお一人だということで観察していたかもしれません。

そんな関心から手にした一冊は、次のものとなります。

女たちの〈銃後〉

女たちの〈銃後〉

 

 今年の2月に亡くなられた加納さんが1987年筑摩書房から刊行したもの

の復刻版となります。まさにこの時代に読まれるべきもののように思いますが、

版元が筑摩から「インパクト出版会」へと移ったというのが時代の変化を感じ

させることです。

 加納さんは1940年生まれですから、これは昭和15年、皇紀2600年であり

まして、幻の東京オリンピックがそれを記念し、開催予定であったのですが、

これは中止になったのですね。大政翼賛会がスタートしたのもこの年でありま

した。

 加納さんが取り上げているのは、ご自身が生まれた頃に活動していた著名

な女性たちでありまして、戦前、戦中と戦後も含めて検証されています。

 その時勢にあわせて生きざるを得なかったのは、銃後の女性にしても同じこ

とでありまして、その変節を厳しく断罪するわけではありませんが、そのことを

加納さんは残念がっています。

 そうしたなかで、こういう生き方は首尾一貫していると書かれていたのは、

エスペランティスト 長谷川テルさんでありまして、長谷川さんが書いた本が

紹介されていました。

 エスペランティストの長谷川テルさんについては、高杉一郎さんが本を書い

ていて持っているのに、未読でありました。この本も読んでみなくてはいけない

ことです。