平成を代表する建築というのは、専門誌「日経アーキテクチュア」が今年の
春に発表したものだそうです。こういう雑誌があることも知らずでしたが、「みす
ず」6月号に掲載の「東京論」で、五十嵐太郎さんがそのランキングを発表し、
それにコメントをつけています。
このランキングは、建築分野の専門家が投票したものとのことで、五十嵐さん
もこれに票を投じたとのことです。「みすず」にはベスト10がのっていて、これの
うちのベスト3を紹介です。平成とありますので、もちろん日本に限っての話とな
ります。
「 1 せんだいメディアテーク (伊東豊雄) 16票
2 金沢二十一世紀美術館 (SANAA) 14票
3 横浜港大桟橋国際客船ターミナル(FOA) 7票
すなわち、一位と二位はダントツで選ばれており、三位以下は団子状態で並ん
でいる。実験的な構造デザインに挑戦したせんだいメディアテークは、この施設の
登場によって世界の建築界がおそらく仙台という都市の名前を覚えたから当然
だろう。
また金沢二十一世紀美術館も、日本の現代建築としてはめずらしく、劇的に
観光客の流れを変えることに成功した。」
この専門家によるベスト10には、東京の建築の関係では「東京駅丸の内駅舎
保存・復原」が5票を集めてかろうじてベスト10にすべりこんでいますが、このこと
を受けて、五十嵐さんは次のように続けています。
「平成のリストにおいて注目すべきは、次々と賑やかな再開発が行われ、新しい
東京の建築がひとつしか選ばれていないことだ。・・・ランキングに対し、逆の見方
をすれば、平成時代は東京以外において画期的な建築が登場したことを意味し
ている。危機感をもった地方都市ではすぐれた建築が登場する一方、イケている
と慢心した東京はチャレンジを避けている。・・世界レベルの建築の動向から東京
でとりあげるべきプロジェクトがほとんどない。代わりにアジアの現代建築がめだ
つようになり、むしろ東京ではザハ・ハディドの新国立競技場案をキャンセルした
ことのみが重要なトピックだった。」
このように記してから、最近の東京の建築の傾向について書くわけであります
が、今の東京のトレンドは「ブランド店舗がデザインを牽引している」ということが
わかりました。それにしても外国ブランドの店舗というのは、当方にはまるで縁が
ないものでありますね。