知らなかったな

 連休中に開いてみようと思って図書館から借りた本に「画家のブックデザイン」

というものがあります。 

 小林真理さんという方は、この本で初めて知ることになりですが、

アートディレクター、画家、装丁家、美術ジャーナリスト等々と書かれています。

 この本の冒頭には、小林さんにより「画家のブックデザイン・装丁概論」という

文章がおかれています。そこのところをちょっとつまんで紹介してみます。

「装丁は表紙だけではなく、カバー、帯、見返し、扉に至る本の外装に関わる

パーツ一式のデザイン作業になることが多い。書店での販売戦略を考えると

判型や用紙選びなど、造本設計にまで作業が及ぶ。・・

 装丁の最も大事な要素として、書名を表すタイトル文字と本の中身を象徴す

る絵柄や模様がある。・・

 現在ではこの文字の仕事と絵の仕事を分業するデザイナーが多いのだが、

ひと昔前は、画家が意匠をこらして文字と装画、模様を描き装丁したことから

始まった。現在も少なくなったとはいえ、絵も文字も描ける装丁家はいる。

しかし、残念なことに絵を描くイラストレーターは多いが、昔のような文字を

描いたりレタリングができるデザイナーが大変少なくなっている。」

 ということで、この本に取り上げられている画家さんたちは、その絵のみ

ならず書き文字を目にしただけでも、どなたの装丁かがわかるようなものと

なっています。

 これに収められている橋口五葉による漱石本とか、岸田劉生による

武者小路本、竹久夢二による自著本などの書影を見ていましたら、その本

を所蔵しているのが「特種東海製紙株式会社」とありです。この会社が、

このように明治期の出版物のコレクションをしているのかと不思議に思い

ましたです。

 そんなわけで「特種東海製紙株式会社」を検索してみましたら、ここに

「2002年に弊社の研究開発活動と営業販売支援活動の拠点として

Pam(Paper and material)を開館し、紙にまつわるさまざまな資料展示、

企画展などを重ね、紙文化の伝承・情報発信とみなさまとの

コミュニケーションの場として活用しております。」

 というページにいきあたりました。このPamには原弘さんの資料も収蔵

 されているということで、そういうことであれば、貴重な初版資料を収集し

ていても不思議ではないなと思いました。

 このような観点から文学書の初版本を集めている企業もあったかです。

https://www.tt-paper.co.jp/pam