創業40周年 9

 昨日の写真は国書刊行会ラテンアメリカ文学叢書」内容見本小冊子を開いたもので
あります。なかほどに綴じたホチキスがうつっていましたが、ひらいても片手で収まる
ようなサイズとなります。
「ラテン・アメリカの現代文学のために」と題されていますが、この文学叢書は全何巻
というものではなく、いけるところまでいってしまえという壮大な企画でありました。
 この叢書の特色について、内容見本には次のようにあります。
「日本におけるラテン・アメリカ文学研究の最高権威の一人、鼓直氏(法政大学教授)
の編集によって、今日の世界文学の台風の目ともいうべきラテン・アメリカの現代文学
の最もアクチュアルな状況を系統的に紹介する、わが国初の南米文学シリーズであり、
ラテン・アメリカ文学、海外文学紹介史上画期的な、エポックメーキングなシリーズ。」
 この見本は1977年6月13日印刷発行となります。
ラテン・アメリカ文学が、日本で良く読まれるようになったのは、ボルヘスの翻訳がで
て、それについでガルシア・マルケス百年の孤独」がベストセラーとなったことに
よります。(それにしても、「百年の孤独」はいつまでも文庫とならない一冊でありま
す。新潮社のドル箱なのでしょうか。新潮社の「百年の孤独」は、最初の版、改訳版と
あってそのあとにマルケスコレクションの一冊になっている版がありますからね。)
 ボルヘスは難解でありますからして、「不死の人」が一般読者にとってラテン・
アメリカ文学への誘い作品とはならないように思います。
それとくらべると「百年の孤独」は、面白くてはまる作品でありました。この作品を
日本で受け入れられるにあたっては、翻訳が良かったことがあげらています。
すなわち鼓直さんの功績であります。
 国書刊行会の内容見本に「最高権威の一人」とあるのも、そうした功績を背景にして
のことでしょう。この見本に鼓さんは、「驚異のるつぼ」という文章を寄せています。