スタア誕生かな

 なんとか金井美恵子さんの「スタア誕生」にたどり着きました。

『スタア誕生』

『スタア誕生』

 帯には「あの人たち、あの娘たちは今どうしているのだろうか」とありました。とい
うことは、これにでてくる人物は、過去の作品に存在するということですね。そう思っ
て帯の後ろを見ましたら、「傑作長篇『噂の娘』の幕がふたたび上がる。」とあるでは
ないですか。
 そうか、この作品は「噂の娘」とつながるものであるのか。
噂の娘

噂の娘

 金井さんの著作は、「本を書く人読まぬ人とかくこの世はままならぬ」から後に刊行
となったものは欠かさず買うようにしていたのですが、読めていないものも多くて、最
近は、買うことができていないものもありです。
 小説では実験的なものは苦手で、饒舌な文体で語られるものは好みでありますが、そ
の饒舌系の小説ですら読めていなかったりします。
 「噂の娘」は、元版刊行時に入手し、文庫版になった時にも購入しているのに、いま
だに未読であります。元版がでたのは、今から15年ほども前のことで、あの頃はそれな
りに仕事が忙しかったからなと、言い訳であります。
 今回「スタア誕生」を手にしたことによって、「噂の娘」も読むことができないかと
思っているのですが。
 熱心な金井ファンからすれば、「噂の娘」の続編が書かれはじめたのに、それがどう
して書きつがれないのかということが気になっていたでしょう。当方も、この「スタア
誕生」の後ろにおかれた初出一覧を見て、これの巻頭におかれた第一章が2002年「群像」
九月号に発表されて、それがそのままとなっていたところに、講談社と何かあったのか
なと下衆の勘繰りであります。(講談社文芸文庫から作品はでていますので、そんなこ
とはないか。)
 とはいえ「噂の娘」は講談社で、「スタア誕生」は文藝春秋社からでたのであります。
「噂の娘」の続編を書いてくださいなという有力編集者が「群像」にいなくて、「文学
界」にいたということになるのかな。
 そういえば、二月末に刊行予定となっていた「早稲田文学2018年春号」は、もう店頭
にならんでいるのでしょうか。これは「金井美恵子特集」ということで、発売元となっ
ている筑摩書房の「ちくま」2月号には、紹介があったのですが、どうやら刊行が遅れて
いるようでありますね。